そして，こうしたフライトアクションで気をつけなくてはならないのが戦闘中などにコントロールが困難な状態になる「失速」である。だがデルタでは，失速やGの影響といった空力的挙動がプレイの難易度を無駄に上げるほどにはシビアではない。

　極端に速度を落とし過ぎない限り，コントロール不能に陥ることはまずない。まずは機体の出力を落とし過ぎないように注意していれば良いだろう。

　また，このファーストミッションは，同時に「エアフォースデルタ」の世界観の特異さをプレイヤーに深く印象づける。

　実在する戦闘機を操るこちら側に対して，敵はまるでUFOのような威容を誇る超兵器。従来のフライト系ゲームとは一線を画す，ダイナミックなストーリーの広がりを予感させてくれる。

■ミッション中も展開する重厚なストーリー

　そしてファーストミッションから帰還すると，主人公たちのホームグラウンドであるエアベース（デルタ中隊基地）のパートに移行する。

　今後ゲームは，このエアベースで新しい作戦のブリーフィングを受け，ミッションへ向かうという構成の繰り返しになるわけだ。

　この作品はフライト系ゲームでありながら，ストーリーの占める比重が高い。しかし，そのストーリーはエアベースのパートだけで進むわけではない。次々と基地に集まる，ひと癖もふた癖もあるパイロットたちのドラマは，むしろミッションの最中にこそ展開するのだ。

■エアベースに集う戦士たち。そのひとりひとりが背中にそれぞれの物語を背負っている。

■ミッション前のブリーフィング中。ここでのやりとりにはクリア条件はもちろん，攻略のポイントも隠されているぞ。

　たとえば，レシプロ機をこよなく愛する老兵ジェイミーと，スピード至上主義者のリックによる鉄道攻撃ミッション。作戦を遂行している間にふたりの丁々発止のやりとりが通信にどんどん割り込んでくる。

　また低速域に強いレシプロ機で確実にターゲットを仕留めるジェイミーと，速度にまかせて一撃離脱戦法を取るリックというように，乗機の特徴や戦法にもそれぞれのキャラの性格や好みが反映されているのも見どころだ。

　ミッションでの戦闘とキャラクターの織り成すシナリオが，密に結合しているのがデルタのポイントのひとつと言えるだろう。

■レシプロ機の達人・ジェイミーが操るP-38Lライトニング。低速安定性をフルに活かして確実に地上目標を支配する。

■また敵サイドのパイロットたちの会話が流れることもある。彼らもまたそれぞれの信念に従い，戦っているのだ。