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Chapter 2:Windows NT 4.0のTCP/IPサービス 〜WINSとDHCP〜
2.3.2 ブラウジングサービス |
WAN環境におけるブラウジングで重要になるのが,16バイト目が“0x1b”のNetBIOS名である。このようなNetBIOS名は,“domainname <1b>”という名前でPDCによりWINSサーバーに登録される。16バイト目が“0x1b”のNetBIOS名は,ドメインマスタブラウザであることを表す。LMHOSTSファイルを利用する場合には,セグメントマスタブラウザのLMHOSTSファイルに,各ドメインマスタブラウザのNetBIOS名を記述しなければならなかった。LMHOSTSファイルは静的なファイルであるため,BDCがPDCに昇格したなどの動的な変化には対応することができない。
WINSを使用している環境では,ドメインマスタブラウザが起動するときに,WINSサーバーに対して“domainname <1b>”を登録する。同じドメインに所属するセグメントマスタブラウザは,WINSサーバーに対して“domainname <1b>”のように名前参照を要求し,このNetBIOS名に対応するIPアドレスを取得する。セグメントマスタブラウザは,そのIPアドレスを使用して,自分の所属するセグメントのブラウズリストをドメインマスタブラウザに送信することができる。各ドメインマスタブラウザは,NetBIOS名の16バイト目が“0x1b”であるドメイン名をすべてWINSサーバーに照会し,WAN上に存在するすべてのドメイン名を取得する。これにより,各ドメインマスタブラウザは,自分のドメイン内に存在するすべてのコンピュータ名のブラウズリストと,ネットワーク上に存在するドメイン名のブラウズリストを取得することができるようになる。この情報が,セグメントブラウザから各バックアップブラウザに伝達されることになる。
Fig.2-3 WINSを使用したブラウジングサービス |
ドメインマスタブラウザ(PDC)がWINSサーバーに“domainname <1b>”を登録する。
- セグメントマスタブラウザは,自分のドメインのドメインマスタブラウザのIPアドレスをWINSサーバーに照会し,そのIPアドレスを回答として受け取る。
- セグメントマスタブラウザは,ドメインマスタブラウザに対し,自分のLAN内に存在するコンピュータの一覧(ブラウズリスト)を送信する。
- ドメインマスタブラウザは,ネットワーク上に存在するドメインの一覧を取得するために,NetBIOS名の16バイト目が“0x1b”であるドメイン名をすべてWINSサーバーに照会する。
- セグメントマスタブラウザはドメインマスタブラウザから,ドメイン名の一覧と自ドメイン内のコンピュータの一覧を取得する。
- セグメントマスタブラウザはバックアップブラウザに情報を伝達する。
クライアントがブラウジングを開始すると,まず自分のセグメントに存在するバックアップブラウザに対してブラウズリストを要求する。バックアップブラウザには,自分の所属するドメインに存在するコンピュータ名の一覧と,WAN上に存在するドメイン名の一覧がすでに存在するため,クライアントにそのブラウズリストを回答する。クライアントのユーザーが,ドメインの一覧から別ドメインのコンピュータの一覧を要求した場合は,クライアントコンピュータがWINSサーバーを利用して,対象となるドメインに存在するドメインマスタブラウザのIPアドレスを取得し,得られたIPアドレスに基づいてドメインマスタブラウザにバックアップブラウザの一覧を要求する。クライアントは,その回答に含まれていたバックアップブラウザに要求を送信し,コンピュータ名の一覧を取得する。
なお,WINSを使用しても,ワークグループのブラウジングは改善されない。なぜなら,ワークグループにはドメインマスタブラウザが存在しないためである。
Fig.2-4 WINSが存在する場合のクライアントからのブラウジング |
- クライアントは同一セグメントのバックアップブラウザに対してブラウズリストを要求し,バックアップブラウザからドメイン名の一覧を取得する。
- 別ドメイン(Domain_B)のコンピュータの一覧を取得する場合は,そのドメインのドメインマスタブラウザのIPアドレスをWINSサーバーから取得する。
- クライアントは取得したIPアドレスを元にドメインマスタブラウザと接続し,そのドメインのバックアップブラウザの一覧を取得する。
- クライアントはバックアップブラウザからDomain_Bに存在するコンピュータの一覧を取得する。
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