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Chapter 3:DNS(Domain Name System) 〜概要〜

3.2 名前空間

 先ほど,ブラウザで「www.itmedia.co.jp」というホストに接続する例を示したが,このホスト名を見るだけでも,接続先のホストが日本(jp)の企業(co)によって管轄されていることは概ね推測できるだろう。なぜなら,DNSのドメイン名は,特定の規則に従って形成された名前空間(ネームスペース)に基づいて設定されているからである。名前空間とは,DNSのドメイン名を格納している構造であり,「.」(「ルート」と呼ばれる)を起点としたツリー構造で表される。

Fig.3-3 DNSの名前空間
fig.3-3

 ルートの直下に存在するサブドメインは,「トップレベルドメイン」と呼ばれる。トップレベルドメインには,教育機関を表す「edu」や,企業を表す「com」,政府機関を表す「gov」などが登録されている。ただし,これらは一般的にアメリカの場合であり,そのほかの国では,その国自身を表す2文字のカントリーコード(ISO-3166に示されている)をトップレベルドメインとして用いる。たとえば,日本のトップレベルドメインは「jp」であり,イギリスのトップレベルドメインは「uk」,オーストラリアのトップレベルドメインは「au」,フィンランドのトップレベルドメインは「fi」というように決まっている。

 トップレベルドメインにカントリーコードを利用するアメリカ以外の国では,トップレベルドメインの配下に位置する第2レベルのサブドメインに,組織の種別を表す文字列を用いる。たとえば,教育機関を表す「ac」,企業を表す「co」,政府機関を表す「gr」などがある。これらの登録規則は「NIC(Network Information Center)」と呼ばれる組織によって管理されており,日本におけるドメイン名の登録規則はJPNICのftpサーバーから入手することができる。

Table 3-1 JPドメインにおいて組織の種別を表す第2レベルのドメイン名
ドメイン名 登録資格者
AC 学校(EDドメインに属するものを除く)
CO 企業
GO 政府機関や特殊法人など
OR 各種法人(ほかのドメインのいずれにも該当しないもの)
AD JPNICおよび関連組織
NE ネットワークサービス提供者(プロバイダなど)
GR 任意団体
ED (主に18歳未満を対象とする)各種学校

 DNSの名前空間は,ファイルシステムと比較するとわかりやすい。ファイルシステムの「\」(ルートディレクトリ)にあたるのが,DNSにおける「.」(ルート)である。ルートのなかには,「jp」「com」「org」といったトップレベルドメインの名前が登録されている。ファイルシステムでいえば,これらはサブディレクトリに相当し,DNSではこれらを「サブドメイン」と呼ぶ。

 たとえば「www.itmedia.co.jp」というホスト名を,ファイルシステムとして考えてみよう。この場合,ルートディレクトリの配下にある「jp」ディレクトリのなかには「co」ディレクトリというサブディレクトリがあり,そのなかには「itmedia」ディレクトリというサブディレクトリがあり,さらにそのなかには「www」というファイルが存在する,ということになる。つまり,「www」というファイルをファイルシステムにおける絶対パスで表すと,「c:\jp\co\itmedia\www」となる。

 これに対してDNSでは,階層が上位の要素を後ろから表記し,各サブドメインを「.」(ドット)で区切って表す。したがって,「www.itmedia.co.jp」というホストをDNSにおける絶対ドメイン名で表すと,「www.itmedia.co.jp.」となる。つまり,ルートのなかに「jp」ドメインというサブドメインがあり,そのなかには「co」ドメインというサブドメインがあり,そのなかには「itmedia」ドメインというサブドメインがあり,さらにそのなかには「www」というホストが存在するのである。

Fig.3-4 ファイルシステムとDNSの名前空間の対比
fig.3-4

 ここで,「www.itmedia.co.jp.」という絶対ドメイン名の最後に「.」が指定されていることに注意してほしい。一般的にホスト名やドメイン名を記述するときには,「www.itmedia.co.jp」とか「softbank.co.jp」などと表記されるが,これはいずれも相対的なドメイン名の表記である。これは,ファイルシステムでいうと,最初に「c:\」を指定しない「jp\co\itmedia\www」という表記にあたる。ご存じのとおり,ファイルシステムにおける相対ディレクトリの指定は,その時点におけるカレントディレクトリを基準とした相対的な表現である。このため,基準(カレントディレクトリ)とする位置により,指し示すファイルやディレクトリが変わってくる。DNSでもまったく同様である。DNSの場合は上位階層ほど後ろに記述するため,最後に「.」があれば,それは絶対ドメイン名と判断される。このように,最後に「.」を付けて絶対ドメイン名で表記した名前を「FQDN(Fully-Qualified Domain Name)」と呼ぶ。最後に「.」を付けていない相対ドメイン名は,ルート以外の階層を基準とした相対的な表記として解釈されることもある。

 なお,DNSで利用される「名前」は,一律に「ドメイン名」と呼ばれる。つまりDNSでは,その名前が特定のホストを指すのか,それともドメインを指すのかを意識しない。つまり,「www.itmedia.co.jp」というホスト名も,「itmedia.co.jp」というドメイン名も,まったく等価に扱われる。

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