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9.10 ハードウェアリソースのチューニング

 性能設計で重要な点の1つは「ハードウェアリソースの適切な配分」である。目的のアプリケーションに対して十分なハードウェアリソースを配分しなければ,システムが期待するだけの性能を発揮する保証はない。SQL Serverは少ないハードウェアリソースでも十分動作するように設計されている。しかし,最低限のハードウェア構成であらゆるシステムが最適な性能を発揮できる保証はない。管理者は自分のシステムの要件に合わせてハードウェア構成を整備すべきである。
 ハードウェアリソースの能力は,目一杯まで引き出したほうが費用対効果は高い。しかし,ボトルネックになるほど過度な負荷をかけるべきでもない。ハードウェアリソースの過不足を判断するには,パフォーマンスモニタを利用するとよいだろう。パフォーマンスモニタを利用してハードウェアリソースの利用状況を監視し,ボトルネックとなっているハードウェアリソースを明確にするのである。ボトルネックとなっているハードウェアリソースが判明したら,次にそのハードウェアリソースを最も利用しているプロセスまたはスレッドを明確にする。そして,プロセスまたはスレッド側でハードウェアリソースの要求を減少させるべきか,あるいは新たにハードウェアリソース側を増強すべきかを判断する。

Fig.9-67 ハードウェアボトルネックとなり得るシステムコンポーネント

 [スタート]メニューの[プログラム]−[SQL Server]−[パフォーマンスモニタ]を選択したときに起動されるパフォーマンスモニタには,あらかじめBuffer Cache Hit Ratio,User Connections,Total Server Memory,SQL Compilations/sec,Page Reads/sec,Page Writes/secという6つのカウンタが登録されており,パフォーマンスモニタを起動したときに表示される。

Fig.9-68 パフォーマンスモニタ

 本節では,パフォーマンスモニタでどのオブジェクトのカウンタ値を監視すればよいのか,そして得られた結果からどこに問題があると判断すべきかについて説明する。

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