Yahoo! BBでデフレ現象
8Mbps化と値下げ進む

　筆者は本誌2001年9月号でYahoo! BB*1登場時の衝撃を2001年後半のADSL業界を引っかき回す巨大竜巻に例えた。案の定Yahoo! BBは、そのツイスターぶりをいかんなく発揮し、ADSL業界に猛烈なデフレ現象を巻き起こしている。つい数か月前までは月額6000〜7000円程度で高止まりしていた利用料金は、いまや、2000〜3000円台が主戦場となり、一部の通信事業者系プロバイダではマイライン*2契約と組み合わせることで、期間限定ながら1000円台のサービス*3まで登場した。ADSL事業が体力勝負の消耗戦に突入したように感じられ、来年以降のADSL業界がどういった方向に進むのかますます先が読めない。

自社ブランドでサービスを行わず
プロバイダに回線を卸売り

　さて、今月紹介するアッカ・ネットワークス（以下アッカ）は、Yahoo! BBのサービス発表に真っ先に反応して下り最大8M　bpsの導入を打ち出したホールセール*4型のADSL事業者だ。ホールセール型の事業者は、回線部分だけをプロバイダに卸し売る業務を行うADSL事業者で、自社ではメールやホームページなどの各種サービスやユーザーサポートといったプロバイダサービスは提供しない。最近見かけることの多くなったADSLのテレビコマーシャルでも「OCNとアッカ」や「So-netとアッカ」といったようにプロバイダと提携する形で露出しているのもそのためだ。 　Yahoo! BBの登場以来、ADSLを申し込むユーザーの速度に対する興味は、下り8Mbpsに移ってしまった感がある。アッカでも、9月中旬から8Mbpsサービスの本申し込みの受付を開始したが、それ以後は「ほとんどが8Mbpsの申し込み」（アッカ・ネットワークス人事総務部広報担当マネージャー・吉田朋子氏）という状態だという。それもそのはず、従来型の1.5Mbpsメニューより月額料金にして300円高いだけなのだ。この程度の差であればほとんどの人はコストパフォーマンスを考えて8Mbpsを選ぶのだろう。

高速インターネット入門　2/3