サンコム社のコピープロテクト技術「メディアクロック」(MediaCloQ)は、2001年に今回テストしたカントリーポップ歌手であるチャーリー・プライドの「ジム・リーブスに捧ぐ」というアルバムに、バージョン1が使われている。公式に発表されたものでは、米国で初めて発売されたコピープロテクトCDである。このCDをパソコンに入れると、自動的にブラウザでウェブページが開き、個人情報を入力することで著作権管理機能が施されたオーディオファイルをダウンロードできるようになっていたのだが、2001年9月に米国の一般消費者がきちんとした表示義務を行っていないとして、発売元のレコード会社とサンコム社を訴えた。レコード会社は入力された個人情報を削除すること、DVDやMP3対応CDプレイヤーで再生できないことをきちんと警告することなどに合意して和解し、現在オーディオファイルをダウンロードするためのウェブページは「not found」になっている。「ジム・リーブスに捧ぐ」で使われたバージョン1からバージョンアップした「メディアクロック バージョン2」も2001年8月に発表されている。バージョン2についてのレポートは、まだウェブ上でもあまり見かけない。だが、前バージョンよりパソコンとDVDプレイヤーでの互換性が改善されたということで、バージョン1よりも緩いプロテクトとなっていることを察することができる。バージョン1では、DVDプレイヤーでの再生は全くサポートされていなかった。
ソニーの関連会社であるソニーDADCのプロテクト技術が、「キー2オーディオ」(Key2Audio)だ。2001年8月にヨーロッパでラジオ局向けのプロモーションCDとして、マイケル・ジャクソンの「Rock Your World」にテストとして導入された。
コピープロテクト技術に関してはどの会社も詳細を伏せていることが多くキー2オーディオも同じだが、この技術は米国マクロビジョン社(Macrovision)、イスラエルのTTRテクノロジーズ社(TTR Technologies)が共同で開発しているセーフオーディオ(SafeAudio)というプロテクト技術の1バージョンという見方もある。セーフオーディオの開発元であるマクロビジョン社は、CD-ROMのコピー防止技術であるセーフディスクも開発しているので、聞いたことがある人もいるだろう。
セーフオーディオは、非常に多くのエラーを見せかけ、CD-ROMドライブの読み込みエラー訂正機能「エラー・コレクション・コード(ECC)」にスクランブルをかけることでCD-ROMドライブでの再生を妨げる。音楽CDプレイヤーには、ECCのエラー訂正機能はないので問題なく再生ができるというわけだ。
キー2オーディオの音楽CDをコピーするには、CloneCDでうまくいくことが多いといわれる。CloneCDは新しいバージョン4であまり設定する項目がなくなったが、バージョン3では読み込み時に「データトラック・オーディオトラックからサブチャンネルデータを読み込む」「不良セクタの強制読み込み」をチェックし、4倍速以下で読み込む。書き込み時には「レーザー出力を最適に調整する」「サブチャンネルデータを修復しない」「最後のセクションを必ず閉じる」をチェックし、6倍速以下の速度で書き込むといいようだ。