共用サーバはその利用形態からバーチャルサーバと呼ばれることもあり、人間の住む家に例えるなら賃貸マンションのようなものだ。賃貸マンションは、広さや設備、駅からのアクセスなど、自分が優先させたい条件と予算によって物件を選ぶことができる。共用サーバも、ディスク容量やCGIの利用など、自分が必要とするスペックを備えたサービスが選択でき、比較的低価格で利用できるのが特徴だ。サービスによっては、データベースやストリーミング配信などの特別な機能も利用できるので、サイト運営の幅も広がる。ただし、賃貸マンションでは、近隣への騒音に気を使わなければならなかったり、部屋の壁に穴を開けてはいけないとか、ペットを飼ってはいけないという制限があるように、極度の負荷がかかるプログラムが禁止されていたり、用意されていない機能を自由に追加できないという点は注意しよう。
また、共用サーバは賃貸マンションのように、業者が管理を行っているので、その管理体制によってもサーバ環境が左右される。部屋の鍵をなくしてしまっても、すぐに対応してくれる管理人なら安心だが、新しい鍵を用意するのに何日もかかっては不便極まりない。さらに、部外者の侵入が簡単にできてしまうマンションよりは、オートロック付きの方が安全性が高いように、セキュリティに気を使っている管理体制の方が、サーバ環境もより安全といえるだろう。共用サーバを選ぶときには、こうしたサーバ全体の管理体制にも気を付けたい。
一方、サーバを1台丸ごと借りて利用する専用サーバは、マンションに対して一戸建ての持ち家のようなものなので、増築するのも、部屋を改装するのもすべて自己責任で行うことができる。メモリの増設や、ディスク容量の拡張などを手軽に行える点は、専用サーバのメリットであろう。ただし、管理も当然ユーザーが行うことになるので、共用サーバに比べるとメンテナンスが大変だったり、運用コストが高くなったりと、個人で利用するには敷居が高い。
自宅サーバも専用サーバと同様に、自由にカスタマイズできる点は便利だが、導入時のコストやメンテナンスに手間がかかるので、ユーザーの負担が大きい。
そこで今回は、個人ユーザーが低コストで手軽に利用できる共用サーバをメインに取り上げることにする。