近づく秋。音楽が新しい季節を告げる〜きっかけはエニーミュージックだった。

 登校日の朝、わたしが学校に行こうとしたら、おねえちゃんに呼び止められた。「このメモリースティックDuo、返しておいて、って頼まれたんだけど」、と事情のわからないわたしにお姉ちゃんは「黙っててごめんね」と一言。「彼、急に大学に出なくちゃならなくなって、しばらくは戻れそうにないみたい」。なーんだ、そういうことか。彼女の妹、としてだったのか。

 こんな時はベッドに頭から潜り込んで丸一日出て行かないのがいままでのわたしだったけど、今日は潔く学校に行った。帰り道、バス停から家までの途中にある河原に座り込み、MDプレーヤーで音楽を聴いた。

 いろんなことがあった季節もまもなく移り変わる。わたしはすっかり音楽の虜になってしまった。聴く音楽も前よりちょっとかわったのかもしれない。わたしはだれかに恋をしたのではなく、音楽に恋をしてしまったようだ。そのきっかけをつくったのが、エニーミュージックだったことはまぎれもないことだ。



チバヒデトシ,ITmedia]