MUSIC LIFE ON A SUMMER'S DAY〜エニーミュージックがおしえてくれた〜

「音楽のある生活。それも思う存分、好きな音楽を聴いて暮らす。そんな夢のような生活が実現できたら、すてきだと思わないか?」

 一家に大きな変化がおこったのは、ちょうど一年前の夏休みだった。

「音楽のある生活。それも思う存分、好きな音楽を聴いて暮らす。そんな夢のような生活を来年には実現しようと思うんだけどどうかな?」

 要するにいい音で誰にも気兼ねせずに思う存分、音楽が聴ける環境に引っ越す、ということなのだ。もちろん都心でも防音していいリスニングルームを持つことはできるけど、おとうさんとしてはそろそろ郊外でゆとりのある生活がしたい、ということらしい。そうカンタンな話ではないのだけれど、おとうさんの計画は綿密で、おかあさんもお姉ちゃんもわたしも、もう、うなずくしかないな、という感じだった。

 そうしてわたしの家族は、ことし、わたしの中学卒業とおねえちゃんの大学進学を機に、まだ里山の名残があるこの町の一軒家に引っ越してきた。おとうさんは、大好きな音楽を思う存分聴きながら自宅でデザインの仕事をする、新しい生活を手に入れることができたわけ。