物欲の夏、買って後悔しないアイテムは?(AV&デジカメ編):麻倉怜士の「デジタル閻魔帳」(2/2 ページ)
夏の物欲シーズン到来。経済の先行きに対する明るさも見え始め、今年は少しぜいたくをしてみたいと考えている人も多いはず。今回は少し趣を変え、AV評論家・麻倉怜士氏が個人的に使って良かったもの、欲しいと感じたものを紹介してもらおう。
“画質の鬼”を虜にしたライカ
――3つめはデジカメですね
麻倉氏: 最近、私は「ライカX2」を使うことが多いのですが、やはり素晴らしいです。レンズと信号処理の両方が高いレベルにあり、これ見よがしではない、さらっとした高解像度が気に入っています。
麻倉氏: よく似ているといわれるソニーの「DSC-RX1」も焦点距離35ミリのレンズを備えていますが(X2は35mm判換算で36ミリ相当)、ライカとソニーでは画作りが違います。DSC-RX1は彩度やコントラストが強く、テレビの映像に通じるところがあるのに対し、ライカX2はキメが細かく、色は若干薄めの“ライカカラー”。強調した印象を全く受けないのに精細感と階調性があって、まるで清らかな乙女のような印象です。一回使ったら虜になってしまいました。
X2は24ミリ(35mm判換算で36ミリ相当)の固定焦点です。シャッタースピードと露出を選ぶダイヤルが2つだけあり、操作はとてもシンプル。本当に基本的な機能しかありませんが、その画質とボケ具合ですごく楽しく使えます。
「ライカXバリオ」。APS-Cサイズの大型CMOSセンサー(有効画素数1620万画素)と35mm判換算で28〜70mm相当のレンズを搭載したコンパクトデジカメ。ライカMと同様の工法で削りだしたアルミニウム製のトップカバーや上質なレザーで高い質感を持つ
麻倉氏: 今度の「ライカXバリオ」も素晴らしいですね。28〜70mm相当の広角標準ズーム付きで、従来のXシリーズよりもMシリーズに近い印象です。X2を使っていると、やはりズームも使ってみたくなります。試用してみましたが、圧倒的なのがフォーカスですね。非常に細部まで解像するのは、LEICA M譲りです。もちろんズームなので、単焦点にはかなわないという見方もありますが、実に素晴らしいMTFの高さです。
X2と比較すると、画作りが少し違います。X2は非常に階調指向で、黒沈みをなるべく避けようという方針で作られていますが、Xバリオは微小信号のコントラストがしっかりとし、光学的なフォーカスの高さと相まって、実に鮮明でしっかりとした質感が得られています。ライカファンならぜひ注目したい逸品です。
使いこなしが楽しい“PEN”
麻倉氏: ライカは映像のすごさで気に入っていますが、操作感と使いこなしが楽しいのがオリンパスの“PEN”です。私は銀塩フィルムの時代を含めて歴代PENを使ってきましたが、「E-P5」は5世代目とあって完成度がとても上がっています。
麻倉氏: PENの魅力は、まるで魂を持った生き物を触っているかのようなフィーリング。もちろん機械なんですけど、例えばシャッターを押したときの感触がなんとも官能的です。押したときの振動も気持ちいい。
PENの場合、ボタンやダイヤルは多いのですが、新しく設けられたダイヤルとファンクションレバーによって実質4ダイヤル操作が可能になっています。また「露出補正」や「ISO感度」、「絞り/シャッタースピード」など主な設定操作を使いやすいダイヤルに設定するなどのカスタマイズも可能です。以前の「E-P3」で指を曲げなければ操作できないといったことがなくなりました。
また、カメラの上の部分を“軍艦”と呼ぶらしいですが、そのエッジや絞り具合も良いですね。快適な操作性を追求するとデザインも良くなります。良いレンズと組み合わせて良い写真を撮るだけでなく、所有する喜びもあります。
もう1つ。今回からオリンパスのロゴマークが「OLYMPUS PEN」になりました。これは昔の「PEN F」にそっくり。軍艦部分の角度も立ってきて、ますます“先祖返り”です。昔からのユーザーにはうれしいですし、PENには日本のものづくりの繊細さが現れているようです。この夏のミラーレスの中では注目の製品といえるでしょう。
――次回はオーディオ機器を取り上げます
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