どんなシーンでも役立つニコン「D500」の高感度と高機動力:実写レビュー(2/2 ページ)
ニコン「D500」は、同社DXフォーマットの最上位機だ。レビュー前編では快適なAFと連写性能を取り上げたが、今回は3つ目の見どころとして、最高ISO164万に対応した高感度画質を見てみよう。
アングル自由度が広がるチルト式液晶
同社DXフォーマット機では初めて、液晶モニターのタッチパネルとチルト可動に対応したことにも注目したい。タッチパネルでは、ライブビュー撮影時の測距点選択のほか、タッチシャッターや再生コマ送り、拡大操作、著作権情報の文字入力などがスムーズに行える。
チルト機構は3軸ヒンジ構造で、上方向に最大で約120度、下方向に最大で約85度の可動に対応する。液晶サイズは3.2型で、ドット数は約236万ドット、視野角は170度となる。十分な精細感と明るさがあり、屋外でも良好な視認性を確認できた。
チルト液晶の使用感としては、ライブビュー撮影時のコントラストAFが遅い点が気になったが、ローアングルやハイアングルでの撮影が楽に行える点はありがたく感じる。特に接写やスナップ撮影時に役立った。
データの自動転送ができるBluetoothを新搭載
機能面では、BLE(Bluetooth low energy)による常時接続機能が面白い。ニコン製のアプリ「SnapBrige」(iOS、Android対応)を使ってスマホやタブレットとつなぎ、撮影中や撮影後にデータ(2メガ相当の縮小画像、またはオリジナルのJPEG画像)を自動転送できる機能だ。
従来どおりのWi-Fiによる画像転送も可能だが、Bluetooth接続の場合は消費電力が少ないことがメリットだ。いったん接続して自動転送にしておけば、その後は設定を気にせず撮影に専念でき、撮影後には全データの縮小画像をスマホ上で素早く確認できる。
さらに専用サイトへの自動アップロードや、GPS情報の付加、クレジット情報の埋め込み、時刻の同期などもBluetooth経由でスムーズに行える。カメラの電源がオフの状態でも、カメラ内画像の閲覧ができる点も便利である。
そのほかの撮影機能としては、人工照明の明滅による露出のばらつきを抑えるフリッカー低減機能や、撮像範囲を限定して望遠効果を得る1.3×クロップ機能、ミラーアップ撮影時に振動を抑える電子先幕シャッター、カメラの水平を厳密に確認できる2点拡大表示などを搭載している。
動画は、最大3840×2160ピクセルの4K記録に対応。動画からの静止画切り出し機能や、インターバル撮影した静止画から動画を生成する微速度撮影機能もある。
持ちやすくて丈夫なモノコックボディ
ボディは、高剛性炭素繊維複合素材を用いたモノコック構造。既存モデル「D750」などにも共通した構造であり、深いグリップによる良好なホールドバランスも受け継いでいる。また、上面カバーや背面カバーにはマグネシウム合金を採用。剛性感のある頑丈なボディといっていい。
一眼レフの証しともいえる光学ファインダーには、視野率100%のガラス製ペンタプリズムを搭載する。倍率は1倍と高く、APS-Cサイズ機のファインダーとしては、視認性は非常にいい。画面の隅までくっきりと像を見られる。
トータルとしては、軽快なスピードと安定感のある画質を兼ね備えた一眼レフとして、高い完成度を実感できた。特にスポーツや動物などの動体撮影では、撮ることが楽しくてしょうがなく感じるくらい快適だった。価格は手ごろとはいえないが、購入すればきっと長く付き合えるカメラになるだろう。
関連記事
- ニコン「D500」で体験する“史上最強の被写体捕捉力”
ニコンDXフォーマットの最上位モデル「D500」が発売された。スポーツや動物、乗り物など、動きのある被写体に最適な高速一眼レフである。その実力をチェックしよう。 - 暗所AFとバッファ性能が進化した快適操作の一眼レフ――ニコン「D7200」
ニコン「D7200」は同社DXフォーマットの一眼レフでは最上位に位置する製品だ。防塵防滴のボディに、視野率100%の光学ファインダーや51点AFなど高機能を凝縮。2本のレンズを持って街をスナップしてみた。 - ニコンのDXフォーマット新フラッグシップ「D500」、4月28日発売決定
ニコンが「D500」 の発売日を発表。3月から4月下旬に延期されていたが、晴れて4月28日の発売が決まった。 - D5と同等のAFシステムを搭載したDXフォーマットデジタル一眼レフ「D500」
ニコンがDXフォーマットのデジタル一眼レフ最上位モデルを発表。フラッグシップモデル「D5」のAFシステムや新画像処理エンジン「EXPEED 5」を搭載する高性能モデル。実売価格は26万円前後で、3月に発売予定だ。 - ニコン「D500」をアフリカのフィールドでレビュー
2009年に登場した「D300S」以降、新機種の投入がなかったDXフォーマットのハイエンドモデルだが、ついに「D500」が発表された。いち早くアフリカのフィールドで試す機会を得たので、そのインプレッションをお届けする。 - 「D500」のAF性能を堪能する
APS-Cサイズに相当するDXフォーマットの「D500」には、「D5」と同じAFセンサーが搭載されている。するとどうなるかというと、ファインダー内の4分の3ほどがAFセンサーでカバーされることになる。その性能をフィールドで試してみた。 - 「D500」と組み合わせるのにぴったりなレンズ
アフリカで、ニコンのDXフォーマット一眼レフ、「D500」のβ機を評価する機会を得たので、一足早くそのインプレッションをお届けする。今回は組み合わせて使うのに最適なレンズを考えてみたい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.