「SH505i」、7つの“買い”ポイント(前編)

スペック表を並べてみただけでは「SH505i」の魅力は分からない。同じようなスペックの液晶やカメラでも、3D表示可能なシステム液晶だったり、カメラは放送用に使われるものだったり……。そして、それらのパーツが、刷新された分かりやすいユーザーインタフェースの元に密接に結びついている。

 シャープ初のiアプリ対応端末「SH505i」は、渾身の力作だ。スペック表や外見の写真だけでは分からない、その“買い”のポイントを順番に紹介していこう。

 それは大きく分けると2つある。1つは、妥協のないハードウェアスペック。“欲しい”と思うようなパーツは、“これでもか!”というくらい高機能なものが使われている。

 もう1つ、見逃せないのが本当によく練り込まれたソフトウェアだ。全体の印象でいえば、とにかくレスポンスが高速。メニュー構造は分かりやすく、すべてのメニューは1から0のダイヤルボタンによるショートカットが可能。初心者は分かりやすい画面を見ながら、上級者はささっとボタンによるショートカットで操作できる。

その1〜約2.4型、26万色システム液晶。3Dにも対応

 ハードウェアで目をひくのは約2.4型のシステム液晶の採用だ。これはケータイの液晶としては最大級のサイズ。昨年6月に初のiショット端末として登場した「SH251i」の液晶サイズは2型だから、1年間で面積は1.44倍に増加したことになる。

 解像度のほうは、QVGA──240×320ピクセル。ピクセル数は従来機の実に4倍だ。もちろん、これに合わせて文字フォントも3サイズ用意されている。大きい24ドットフォントでは滑らかで見やい表示が、最小の12ドットフォントでは20文字×19行もの表示が可能だ。


QVGAの高精細液晶に表示されるフォントは、シャープが液晶表示用に開発した「LCフォント」。視認性は最高である

 シャープならではの3D対応液晶であることも忘れてはいけない。これは左右の目の視差を利用して、飛び出す画像を表示するものだ。待ち受け画面から「クリア」ボタンを押すと、手前に絵が飛び出したり、奥に引っ込んで見える。自分で撮影した画像を3Dに変換して楽しむこともできる。

 ちなみに、バックライトは時間が経つても突然オフにはならず、いったん微灯に変わってから消灯する仕組み。メールを眺めている際などに便利さを実感する。

その2〜放送技術用CCDを使った100万画素カメラ

 「SH505i」が採用した1/4インチ100万画素CCDは、フレームインタライントランスファ方式(FIT)と呼ばれるもの。

FT、IT、FITといった方式は、光を電荷に変換するフォトダイオードから、電荷を転送する方式の違いを示している。転送中に光を浴びると、CCD特有のスミア現象が発生する。間に電荷を蓄積するメモリ部を持っているのがFT方式。構造はシンプルだが転送中も光電変換が行われているのでスミアが発生しやすい。それぞれのフォトダイオードに転送ゲートを用意して随時転送していくのがIT方式。完全ではないが転送ゲートを遮光できるのでスミアを抑えられる。FIT方式は、転送ゲートを持つと同時にメモリ部も備える。IT方式よりも高速に転送を行えるため、光の漏れ込みが少ない

 CCDの画質向上には、特有の現象である“いかにスミアを抑えるか”がポイント。携帯ではフレームトランスファー(FT)方式を使って消費電力を低減したものや、CCDとして最も一般的なインタライン方式(IT)が多いが、FIT方式は最もスミアを低減できる方式。最も複雑な構造を持つCCDで、従来は放送業務用のビデオカメラに採用されていたものだ。

転送方式 スミア チップ面積 価格 用途
FT方式 一部の携帯電話向けCCDなど
IT方式 携帯向けCCD、デジカメ、ビデオカメラ
FIT方式 業務用ビデオカメラ

 CCD性能を生かすために、レンズは3枚。うち1枚にはガラスレンズを奢った。写真周辺部の歪みを抑えて、高解像度を生かした撮影が可能だ。

 ちなみに、これだけのカメラを搭載していても、厚みは前機種の「SH251iS」と同じ24ミリに収めている。

その3〜動画もOCRもQRコードも。多彩なカメラ活用

 メガピクセルカメラといっても、単に大きな画像が撮影できるだけではない。

 まずは動画だ。これまで携帯の動画というとおまけ的な印象があったが、「SH505i」では最大30分(120×88ピクセル。付属の16MバイトminiSDメモリカードに)の撮影が可能。しかも、動画の中からベストシーンを選んでiショット送信できる。

サイズ 秒間フレーム
120×88 7.5フレーム
160×120 7.5フレーム
240×176 5フレーム
撮影中のズームもできる。撮影した動画はカット編集も可能。再生時は画面いっぱいに拡大して表示できる。フォーマットはオフィスノアの「Nancy」形式を採用した

 静止画のズームは最大8倍。ただし、単に拡大できるのではなく、リニア感覚で細かくズーム調節できるのがうれしい。iショット(S)やサブ待ち受け画面サイズではズームは20段階。VGAサイズでも3段階の調整が可能だ。メールボタンと電話帳ボタンで、最大ズームや最小ズームに一発で飛ぶこともできる。

 レンズ外側にあるスイッチをマクロに切り替えれば、携帯はスキャナに早変わり。URLやメールアドレスを読みとれる文字読み取り(OCR機能)、バーコード(JANコード/QRコード)も読みとれるようになっている。


撮影時のモード変更が容易なのもうれしい。ダイヤルボタンの1−4で、動画や静止画、バーコード読み取りの切替が、[#]キーで撮影サイズの変更が行える。[View]ボタンを押すと、2.4型の業界最大ファインダーになる

その4〜自由自在にiショット

 カメラがメガピクセルになったからといって、単にメモリカードに保存するだけじゃつまらない。「SH505i」は、XGA(1024×768ピクセル)で撮影した画像でも、面倒な手間なくiショット送信できる。

 撮影後、または保存した画像を選択した状態で「iショット」ボタンを押すだけ。わざわざ画像編集メニューからサイズを変更したりする必要なく、端末側で自動的にiショット(S)やiショット(L)に変換して送信してくれる。

 「SH505i」が搭載する外部メモリカード「miniSD」も、内蔵メモリとほぼ同様に扱える。内蔵メモリと遜色ない速度で保存したりサムネイル表示が可能。miniSDに入っている画像をiショット送信することもできる。


大きな画像を「iショット」しようとすると、「できません」ではなく「どのサイズに縮小しますか?」と聞いてくる。ユーザーの立場にたった心配りがうれしい