“本当の快適さ”とは何か――「HTC J One」に見る革新性(2/2 ページ)
グローバルモデル「HTC One」をベースに、日本仕様を盛り込んだ「HTC J One」は、ユーザーにいかに快適にスマートフォンを使ってもらうかを考え抜いた末に生まれたモデル。そのHTC J Oneの注目ポイントを本田雅一が解説する。
情報のハブとなる新機能「BlinkFeed」
このようにハードウェアも素晴らしいのだが、HTCらしさをもっとも強く感じさせられるのは独自機能の「BlinkFeed」である。
HTC端末の良さは、カスタマイズしたAndroidのパフォーマンスや細かな使い勝手(テキスト挿入位置の調整しやすさやカット&ペーストの使いやすさなど)が、少しばかり気が利いていたり、シンプルなアドレス帳へのアクセスなどHTC Senseの(ダジャレというわけじゃないが)センス、サクサクとしたレスポンスといったソフトウェアの品質の高さにあると思う。
このHTC Senseが本機では5.0に進化し、さらに練り込みが進んでいるのだが、その中でも本機を特徴付けているのが、BlinkFeedという新たなアプローチだ。これは横方向に複数ならぶAndroidのホーム画面の一枚を、各種情報を操る「ハブ」として使うものである。
スマートフォンでは各種メール、カレンダーなどの個人情報のほか、SNSのタイムラインを流れていく書き込みやメッセージ、それに日々のニュースなど、多種多様の情報を扱う。アプリを追加すれば、対応できる情報はどんどん増えていく。HTC Senseでは、これらの情報を簡単に扱えるよう、ユーザーインタフェースそのものに情報へのアクセス機能を取り込んでいた。
しかし、便利なはずのアプリや各種情報へのアクセスも、情報の種類や量があまりに増えてくるとかえって煩わしいものになる。アプリを切り替え、あちこちをチェックしなければならなくなるからだ。
BlinkFeedはこうした情報を、インテリジェントに統合してくれる。HTC側で契約したニュースサイト(例えばロイターなど)から、専用に加工されたニュース本文を含む情報を取得。それを時間軸に沿って、写真を効果的に背景に使ったタイル状に並べてくれる。タイルには複数の異なるニュースソースからの情報、それにスケジュールなどの個人情報やSNSで話題になっている書き込みなどが適量、織り交ぜられ、手早く「自分をとりまく情報の今」を知ることができるのである。
さらにHTC J Oneはauスマートパスに対応しており、KDDIが配信しているニュースもBlinkFeed上で扱うことが可能だ。HTCでは今後も情報提携先を増やしていく考えで、より多くの情報が集約される。BlinkFeedの画面には、ホームボタンを押すことでジャンプできるため、すべての情報へアプローチする起点として使いやすい設計である。
ここまで画面レイアウトが違うと、従来のHTC J ISW13HTやHTC J butterfly HTL21との使い勝手の違いに戸惑うのではないか、と心配する向きがあるだろう。しかし、BlinkFeedは前述したようにホーム画面の1つのページとして設定されているので、右方向にフリックすると、見慣れたAndroidの操作画面が出てくるので心配は無用だ。新しさと従来操作の互換性は上手にミックスしている。
ユーザーにとっての快適さとは何かを再考させる1台
新製品が登場すると、数字としてのスペックに目が行きがちだ。しかし、毎日手に触れ、使い続け、1台で多様な役をこなすスマートフォンは、スペックだけで端末の善し悪しを判断することはできない。
もちろん、スペックや機能も、それが必要なものであれば重要なポイントであることは間違いない。しかし、ハイエンドモデルに最新スペックは当たり前のものとするなら、その製品の使いやすさは、もっと“気の遣い方”といった部分にこそ感じられるものではないだろうか。
“何を今さら”と思うかもしれないが、スマートフォンのスペックが猛烈に向上する中で、最新トレンドに追従しながら“Sense”、すなわち感覚に訴える製品を作ろうとしていることが、きっちりと伝わってくるところに、HTC J Oneの良さを感じる。ユーザーにとっての快適な端末とは何かを再考させる1台だ。
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