ソフトバンクの「+メッセージ」、サービス開始日に配信停止 何が起きたのか?
ソフトバンクが「+メッセージ」アプリの配信をサービス開始日に一時停止。アプリをアンインストールすると、過去のメールデータが消えてしまうため。なぜソフトバンクだけがこのようなトラブルが起きたのか?
ソフトバンクが、5月9日に開始した「+メッセージ」アプリの配信を一時停止している。+メッセージは、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社が提供しているメッセージサービス。SMSを拡張したもので、全角最大2730文字のテキストや、写真、動画などを送受信できる。9日には3キャリアのAndroid端末向けにサービスを開始した。
ソフトバンクのAndroid端末で+メッセージを利用するには、「SoftBankメール」アプリをGoogle Playでアップデートし、+メッセージアプリに置き換える必要がある。その際、Androidアプリの自動更新を有効にしていると、SoftBankメールアプリが自動でアップデートされて+メッセージアプリに変更されてしまう。
アプリが置き換わることを知らないユーザーが「勝手に新しいメッセージアプリがインストールされた」と勘違いし、+メッセージアプリをアンインストールしたことで、アプリが初期化され、SoftBankメールアプリの過去データが全て消去されてしまった……というトラブルが起きた。これを防ぐため、5月9日22時ごろからGoogle Playで+メッセージアプリの配信を停止している。
ソフトバンクはお知らせで「サービスの安定稼働を図るため、アプリの提供を一部のお客さまに制限しております」と告知しているが、同社広報部によると、これは一部のユーザーに限定してアプリを配信しているわけではなく、配信停止前にアプリをダウンロードした人のみが使えている状況を指しているとのこと。また、+メッセージアプリ自体に不具合があったわけでもないとのこと。
ソフトバンクは+メッセージ開始前に、ユーザーに+メッセージが開始する旨のSMSを5月8日に送っており、その中でGoogle Playの自動更新によって、アプリが変更されることを注意事項として明記していた。だが、キャリアからのメールにしっかり目を通す人がどれだけいるだろうか。メールアプリを置き換える形にし、かつGoogle Playでアプリを配信したことが混乱を招いた要因だった。担当者は「告知が足りなかった」と言うが、告知だけでは限界があるだろう。
他キャリアはどうか。ドコモのAndroid端末は同社のWebサイトからアプリを別途ダウンロードする必要があるので、既存のドコモメールアプリが置き換わるわけではない。auのAndroid端末は「SMS(Cメール)」アプリをau Marketからバージョンアップする必要があり、SMS(Cメール)アプリが+メッセージアプリに置き換わるが、アプリのアンインストールはできないので、ソフトバンクのようなトラブルは起こらない。また、auの「Eメール(auメール)」アプリは変わらず残る。
ソフトバンクの+メッセージアプリの再配信時期は「未定」。同社広報部によると、「混乱しない仕組みを整えてから配信する」とのこと。アプリの自動更新は端末の設定に依存するので、これをキャリアが制御するのは難しい。ドコモとauのように、キャリアメール(SoftBankメール)と+メッセージのアプリを個別に用意するのが現実的な対応といえる。
ちなみに、現在+メッセージを使っている人が「あんしんバックアップ」アプリで旧データをバックアップしてから+メッセージアプリをアンインストールし、SoftBankメールアプリにデータを復元すれば、以前のデータを残しつつSoftBankメールアプリを継続利用できる。
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