Origamiが決済プラットフォームをオープン化、個人間送金の提供も
Origamiが、決済プラットフォームをオープン化した「提携Pay」を発表。外部パートナーがOrigamiの決済機能や加盟店ネットワークを活用できるようになる。Origami Payの機能も拡張し、2018年度内に個人間送金も開始する予定。
モバイル決済サービス「Origami Pay」を提供しているOrigamiは9月20日、「Origami Conference 2018」にて、同社の決済機能を外部パートナーに開放するプラットフォーム「提携Pay」の提供を発表した。
提携Payは、Origamiの加盟店ネットワークや決済方法をオープン化したもの。Origamiは提携PayのSDKを無償で提供し、これをパートナー企業が導入することで、Origamiの加盟店で使えるQR決済サービスを提供できるようになる。
提携Payを活用することで、新たに決済サービスを開発したり、加盟店を開拓したりすることなく、さまざまなプレーヤーが容易に決済事業に参入できる。日本では「○○Pay」と名の付く決済サービス(主にQR決済サービス)が乱立しており、「共通して活用できるプラットフォームを求める声を多くいただいている」(Origami)という。
決済サービスが増えるのは歓迎すべきことだが、ユーザーにとっては「使える場所が少ない、サービスによってバラツキがある」、店舗側にとっては運用の手間やコストがかさむ、という課題もある。Origamiのプラットフォームを幅広いプレーヤーが活用することで、ユーザーにとっては「加盟店が増える」、店舗側にとっては「開発、店舗開拓、運用のコストを抑えられる」というメリットが生まれる。
さらに、Origami Payの機能拡張も進める。2018年度内をめどに、Origami Payのアプリにウォレット機能を搭載し、個人間送金を可能にする。送金は銀行口座からチャージした残高から行える(クレジットカード経からはチャージできない)。送金の仕組みについて、Origami 事業開発 ディレクターの伏見慎剛氏によると、Origami Pay以外のユーザーとのやりとりも視野に入れているそうだ。
この他、ウォレット内のお金を使って資産運用ができるトレード機能や、与信をデータ化したクレジット機能の提供も予定している(提供時期は未定)。
決済Payには、Origamiが提供しているクーポンや、ウォレット、トレード、クレジット機能も含まれる。ECサイトでの支払いにも対応しており、店舗側はオムニチャネル化が可能になる。クーポンやキャンペーン情報を定期的に提供することで、顧客接点を増やせるというメリットも生まれる。
Origami Payの決済機能自体は既にオープン化しており、2018年1月からクレディセゾンが採用している。今回、クーポンやウォレットを含む決済“プラットフォーム”を開放したことで、新たにトヨタファイナンス、RIZAPグループ、テレビ東京、信金中央金庫などが採用を決定。その他、数10社とも協議を進めている。
国内のOrigamiユーザーが海外でもOrigami Payを利用できるよう、銀聯国際(Union Pay International)と資本業務提携。2019年第1四半期までに、銀聯のQRコード決済が使えるアジア太平洋地域、北米、中央アジア、中東、アフリカなど24の国と地域の750万を超える店舗で、Origami Payを利用可能にする予定。さらに、国内でもOrigamiの加盟店で銀聯QR決済を対応させ、訪日外国人向けのインバウンドサービスも拡充していく。
9月14日には信金中央金庫との業務提携も発表している。信金中央金庫は、全国261の信用金庫と連携し、地域顧客との強い関係を持っている。こうしたネットワークをOrigamiが活用することで、地域の小規模小売、飲食、サービス業へのキャッシュレス化を促進していく。LINE PayやPayPayが進める「店舗側の決済手数料0%」には、いたずらに追随しない考えだが、伏見氏によると、地域創生を狙って自治体と提携する中で、決済手数料0%を提案するケースもあるという。
合わせて、リクルートライフスタイルが提供するQR決済サービス「Airペイ QR」とも連携し、Airペイ QRを導入している店舗でOrigami Payも利用可能になる(※Airペイ QRは、「モバイル決済 for Airレジ」から名称変更している)。
康井義貴社長はOrigamiの強みについて「創業5〜6年のベンチャー企業なので、ニュートラルに、しがらみなく戦略を立てられること」だと語る。「『〜ポイント』を保有しておらず、経済圏の囲い込みをしていない。むしろ真逆で、いろんなパートナーと作ってきた裏側の仕組みも、Origami1社で独占するわけではない」と、競争ではなく共創でキャッシュレス決済を普及させていく姿勢を強調した。
関連記事
- ボタン1つで「○○Pay」を簡単に実装 OrigamiがQRコード決済事業に参入する狙い
QRコード決済全盛の昨今、LINE Payと並んで国内で最初期からサービスを提供しているのが「Origami(オリガミ)」だ。2016年5月には「Origami Pay」の名称で正式サービスをスタート。Origamiのビジネスモデルやその背景について聞いた。 - スマホ決済サービス「Origami Pay」がオープン化、クレディセゾンのアプリで利用可能に
Origamiは、同社のスマホ決済サービス「Origami Pay」をオープン化。これによりクレディセゾンのスマホアプリ「セゾンPortal」「UC Portal」でQR決済が可能となる。 - 続々増える「モバイル決済」 どんなものがある?(バーコード編)
最近、スマートフォンや携帯電話を使う「モバイル決済」のサービスが急増している。「昔ながら」のおサイフケータイを使うものはもちろん、バーコードやQRコードを使ったものも多い。この記事では、バーコードやQRコードを使った「バーコード決済」の方法を紹介する。 - 乱立する「QRコード決済」 普及の鍵を握るものは?
ここ最近、キャッシュレス決済、特にQRコードを使用した決済サービスの動きが活発だ。大手からベンチャー企業まで多彩なサービスを提供している。QRコード決済を日本で普及させるためには何が必要なのか? - 日本でキャッシュレス化を進めるには何が必要なのか?
日本は諸外国と比べてキャッシュレス比率が低いのが現状で、大きく後れを取っている。日本でキャッシュレス化を進めるためには、何が必要なのか。6月14日にFintech協会が開催した勉強会で語られた内容から探っていきたい。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.