フリマアプリでの中古スマホ流通にも基準を セット販売による値引きも警戒――総務省の研究会(2/2 ページ)
総務省が12月2日に有識者会議「モバイル市場の競争環境に関する研究会」の第21回会合を開催。中古端末の流通に関して、新たにネットオークションやフリマアプリなどでの取引に関する問題点が指摘された。携帯電話の料金に関する今後の取り組みの方向性に関する議論も行われた。
セット販売による割引競争には監視を強化
今回の会合では、2018年10月から続く一連の議論の取りまとめを進めるべく、利用者の料金に関して今後の検討が必要な課題についても議論が行われた。
検討会の一連の議論では、特に携帯電話会社の過度な端末値引きや、SIMロックやいわゆる“2年縛り”などによる過度な囲い込みの是正など、携帯電話の料金施策に関する積極的な議論が進められた。その結果として2019年10月1日に電気通信事業法が改正され、通信料金と端末代を明確に分けた「分離プラン」の義務化をはじめ、携帯電話会社の料金やサービスに厳しい規制が加えられた。
今後は改正法の準拠を徹底し、2年をめどに従来の商習慣を根絶するべく市場動向の推移を注視。それとともに、過度な囲い込みや加入者の引き留めにつながる要素の是正、端末市場の多様化、そして広告表示の適正化など見直しを随時進めていく必要があることなどが示されている。
そうした議論の中で、構成員から意見が多く挙げられたのが、販売代理店のビジネスに関してである。総務省としては「代理店が利用者の接点や地域の拠点として重要な役割を担うもの」とし、そのネットワークの維持・活用が重要としているが、一方で端末値引きによる加入者の奪い合いが規制され、従来の評価軸によるビジネスが難しくなったことから、サービスやサポートを収入に結び付けるといった新たなビジネスの開拓が求められている。
だが構成員からは、「サービス手数料を重視すると、消費者にとって不必要なサービスの加入競争につながりかねない」(日本総合研究所 執行役員 法務部長の大谷和子氏)などの声も挙がっている。いかに消費者に負担を与えない形で代理店のビジネスを成立させ、店舗網を維持していくかが今後の課題といえる。
2つ目は、新料金プランと違約金に関してである。前回の会合で、NTTドコモの契約者が新料金プランに移行してから更新月以外に解約すると、違約金が発生することがある点が問題として指摘された。今回も構成員からは「料金プランが大きく変わっていないので動いていないという人も多いと思う。魅力的なプランを出してもらって『動かなきゃ』と思ってもらえることを期待したい」(大谷氏)など、新料金プランへのスムーズな移行を事業者側が促すべきとの声が相次いだ。
もう1つ、構成員から意見が多く出ていたのが「セット販売」による割引に関してだ。総務省の有識者会議では、これまでにも「auスマートバリュー」に代表される固定回線と携帯電話の料金セットなどが、囲い込みにつながるとして議論に挙がったことがある。だが最近では特定のサービスと料金をセットで提供し、お得さを打ち出すプランやキャンペーンなども増えており、それが端末値引きに代わる新たな囲い込みの軸になり得るとして、懸念の声も出てきている。
2019年12月1日より、NTTドコモが新料金プラン「ギガホ」の契約者に対し、「Amazonプライム」を1年間無料で利用できるサービスを提供するなど、料金プランとサービスのセットでお得さを提供する施策は最近増えている
とはいえ端末値引きとは異なり、セットの対象となる商品やサービスは現状でも非常に多岐にわたっている。そうしたことから「組まれたセットが適正な競争ができるものかどうかは議論になる。事業者の動向をウォッチしていかないといけない」(明治大学 名誉教授の新美育文氏)と、当面は動向を注視しながらも、問題が見られた場合は対処を進めていく考えを示していた。
なお今回の議論と、第19回で実施された事業間の競争条件に関する方向性の議論をまとめた骨子が12月中に提示され、年明けには一連の議論に関する最終報告書の取りまとめがなされる予定だ。
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