モバイルインターネットサービス(以下MIS)が東京都世田谷区で行っている無線によるインターネット接続実験は、他の無線接続事業者のように宅内で固定して利用するだけでなく、モバイルを強く意識したものだ。今回報道関係者向けに実施された公開実験は、ノート型のパソコンとPCカード型の無線子機を利用して歩きながら、あるいは喫茶店などで利用するシーンを想定して行われた。
MISが採用したシステムは、2.4GHzの家庭向け無線LANと同等のものにハンドオーバー機能(基地局間の移動)やセキュリティ機能を強化したものを採用している。今回の実験で目にすることのできた無線基地局(アクセスポイント)は商店街のアーケードに取り付けられており、手を伸ばせば届きそうな位置だ。こんなに低いと大型のトラックなどが前を通過すると電波が遮断されるのでは、と心配になる。
通信速度に関しては、1Mbps以下と期待していたほどではなかった。ただ、報道関係者向け実験ということで複数の利用者が同じ基地局の帯域を取り合った結果、十分な速度が得られなかった可能性は高い。
歩きながらネットに接続するかどうかは別にして、街中の至るところにネットの接続ポイントが存在するサービスは、今後はやりそうな気配だ。公園のベンチ、ファーストフード店内、駅の構内などで、ビジネスマンが無線LANカードを使ってメールをチェックするといった需要は確かにある。このサービスをさらに発展させれば、お店などが集客のために無料でネット接続サービスを実施するといったケースも考えられる。
モスバーガーがNTTコミニュケーションズと共同で「ハイファイブ」という無線接続の実験を行っている。市販の無線LANカードとパソコンを持っていれば、実験店の店内から無料でネットに接続できる(登録者のみ)。来年をめどに事業化を計画しており、有料サービスとして提供される模様。このようなサービスを「ホットスポット」と呼び、今後いろいろなところで登場するだろう。