著作権管理システム
DNASを活用
SCEIは流通と課金で収益を

　では、接続料金も取らない、コンテンツも提供しないSCEIは、このサービスでどうやって儲けるのだろうか。桂山氏は、一言でいうと「ロイヤリティビジネス*5」だと説明する。そしてそのビジネスの核になる仕組みが、DNAS（Dynamic Network Authentication System）と呼ばれる認証システムである。これはすべてのPS2本体や、ソフトの収録されたDV Dディスクが持っている固有のID（利用者が変更したり改ざんできない）をネットワーク越しに管理することで、課金認証や不正コピー防止*6を行うというのものだ。この部分がパソコンによるインターネットと大きく異なる部分だろう。パソコンの場合、CPUやネットワークカードなどの部品レベルでは固有のIDが設定されているが、ネットではそれを一元的に管理する仕組みがないため、課金や不正コピーの問題で常に頭を悩ませてきた歴史がある。

　このような認証システムにより、本体やDVDソフトの素性がしっかりと管理されているということで、コンテンツを提供する側にとっても安心してサービスを行うことができるのだ。この安心理論は“お金にならない”ネットビジネスを敬遠している、おもしろくてお金になるコンテンツを持った会社をサービスに呼び込むことになり、利用者がプロバイダ経由でPlayStation BBサービスを使えば使うほど、プロバイダやゲーム会社などからSCEIにロイヤリティが落ちる仕組みとなっている。どんなサービスにもいえることだが、課金部分を牛耳るものは強い。

40Gバイトのハードディスクを内蔵し、100BASE-Tのポートを持っているブロードバンドユニット。1万8000円（NTT-BB）で買い取るか月額1000円程度でレンタルする

PlayStation BB専用のブラウザである「ブロードバンドナビゲーター」のサンプル画面。パソコンのものとは似て非なる独特の画面デザイン

　PlayStation BBのもう1つの特徴は「ブロードバンドナビゲーター」と呼ばれる専用ブラウザの提供にある。ただ、ブラウザといってもパソコンのものとは全く異なり、PS2用に提供されたコンテンツをテレビの画面やリモコン操作で快適に楽しめるような作りになっている。また、ブロードバンドナビゲーターではコンテンツを見るだけでなく、メールやインスタントメッセンジャー機能を利用することも可能だ。

PlayStation.com
プレイステーションの公式サイト。PlayStation BBの情報もある。PS/PS2ソフトや本体、周辺機器、映画DVDの通販も行う

ソニー・コンピュータエンタテインメント 広報部広報課長 桂山孝一郎氏 「PS2はゲームを中心とするブロードバンドを楽しむための家庭用高性能コンピュータ」と誇らしげに語る

高速インターネット入門　3/4