News:アンカーデスク | 2003年2月17日 06:31 PM 更新 |
今までのわれわれの経験からすれば、どこかに穴が空いていれば、必ずそこに入ってくる輩が出てくる。DVRの普及が進めば、当然これらの製品もターゲットになりうるわけだし、セキュリティの問題は、早期に議論されるべきだろう。
家電ってことで……
反対にDVRを家電として量販店で扱って欲しいというメーカーも少なくない。主にパソコン系メーカーのDVR製品だ。
パソコン市場では早くからテレビ録画用の拡張カードやUSBデバイスが販売されてきたが、最近はPCと関係なく動作可能な製品も多い。アイ・オー・データのRec-POTシリーズなど、HDDにBSデジタル放送をダイレクトに記録できる画期的な製品にも関わらず、パソコンユーザー以外には全く知名度がない。
PCメーカーとして最大規模を誇るNECでも、同様の問題を抱えている。
同社のAX10はHDDのみのレコーダだが、PCとの連携によって機能強化される。しかし単体としても普通にDVRとして通用する自信を持っているのに加え、パソコンのサポートを通じて一般家電として扱われても困らない体制を作ってきた。PCの周辺機器としてしか販売されないよりも家電として流通すれば、販売量は10倍以上になる。
彼らの悩みは、家電ルートへの販売チャンネルを失ってしまったことだ。
以前はNECにも家電部門があったのだが、97年から98年の間に家電から完全撤退した。今からわずか5年前である。そこで自社のサイト「121ware」でAX10取り扱い店舗一覧を設けるなどして、販売の促進に努めている。しかしちょっと気の利いた電器店に行けば普通に置いてある他社製品に比べれば、圧倒的に不利な立場にあることは否定できない。
誰が売るのか?
NECの悩みは、他社にとっても別の意味で無視できない問題である。今後VCRは、ホームAVサーバといった方向へシフトしていく可能性を秘めているが、現状ではこれらのことに積極的に動いているのは、ネットワークソリューションを持つパソコン部隊だ。
パソコンの販促としてAVサーバ機能を掘り下げていけば、次第にそれはパソコンではなくなっていく。逆にAVの部隊がAVサーバを作っていくと、次第に家電から離れてゆく。
両方の部隊を持っているメーカーにとっては、いつかは両者を突き合わせて舵取りをして行かなければならないだろう。そしてその結果できあがったものは、家電として量販店に流して売って行けるのだろうか。
すでに現状でもDVRやパソコンでは、メディアによるインフォマーシャルが徹底されてきた結果、客側の知識レベルは販売店員のレベルを上回りつつある。買う側は1つ2つの機種だけ把握していればいいが、販売店員はすべてのケースに対応できるよう全製品を比較し、違いを把握しておかなければならない。
機能として複雑怪奇なものになると予想されるAVサーバのようなものが、街の電器店やパソコンショップで対応できるものなのか、現状では全く予想できない。
モノを作り上げるのは時間の問題だ。しかし誰がどうやってそれを売っていくのか、それに対する答えはまだない。
[小寺信良, ITmedia]
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