News 2003年7月4日 01:55 PM 更新

Dell、受刑者労働によるPCリサイクルを打ち切る

刑務所管轄のリサイクル業者を採用しているDellに対し、非難の声が上がっていたが、同社は受刑者労働によるリサイクルを取りやめ、別の民間企業に切り替えるという決定を下した。

 Dell Computerは、刑務所の受刑者をコンシューマー向けPCとプリンタのリサイクルプログラムの労働力として提供する連邦政府所有の企業との契約を破棄した。

 Federal Prison Industriesは、Unicorという商号でDell RecyclingからDell製コンシューマー向けPCのリサイクル業務を委託されていたが、その契約を早急に打ち切ると、Dell広報担当者のブライアント・ヒルトン氏は述べた。Unicorは「今後30日から60日の間に」Dell製プリンタのリサイクル業務も終了するという。

 Dellによれば、Unicorに委託されていた業務はResource ConceptsとImage Microsystemsが引き継ぐという。

 UnicorがDellと結んでいた契約は2002年10月に締結されたが、今年3月に環境保護団体Silicon Valley Toxics CoalitionがDellのマイケル・デルCEOに向けて書いた手紙の中で、Unicorとの契約に対する憂慮を示し、「刑務所が私企業のリサイクル事業と不公正な競争をし、私企業による廃棄物リサイクリングの国内インフラストラクチャ育成を阻害している」と主張、新たなリサイクル計画を策定するよう求めた。

 この件に関し、Silicon Valley Toxics Coalitionに協力しているリサイクルのプロフェッショナルによるネットワーク組織、Grassroots Recycling Networkでディレクターを勤めるデビッド・ウッド氏は、Unicorの労働者の安全性に関する懸念を表明する。

 「有毒廃棄物を扱っている労働者と刑務所は、米国労働安全衛生局(OSHA)と環境保護局の基準による管理を免れている」と同氏は指摘する。「取り扱っている物質の有害性を考えれば、廃棄された電子機器を取り扱う労働者は保護されなければならない」と同氏。

 Dellのヒルトン氏は、環境保護団体からの圧力によってUnicorとの契約解除を判断したわけではないと主張している。「確かに顧客と株主から憂慮の声を聞いていた」と同氏。「しかし、われわれは特別利益団体の行動により決定を行ったわけではない」とヒルトン氏は述べた。

 ウッド氏の意見は異なる。「彼らの意思決定がなされたのは、許容できない行為に反対する市民からの圧力を感じたからに違いない」と同氏は断言する。

 新しい契約におけるDellのリサイクルプログラムの価格は以前と同じだとヒルトン氏。Dellは現在、古いコンピュータのピックアップ&リサイクルに15ドルを徴収している。

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[Robert McMillan, IDG News Service]