ドンブリ勘定にサヨナラを言うために――ムダを省く収支管理テクニックMS Money中級編

資金を賢く管理し、上手に運用するためにMS Moneyを利用する――連載の2回目は“家計の管理”だ。ITmediaの読者の大半を占める20-40代前半の男性にとって最も苦手な分野だろうが、きちんと見直せば必ずムダが見つかる。言い換えれば、ちょっとした手間をかけるだけで、その分お金が“わいて出る”のだ。

» 2004年11月09日 00時00分 公開
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 もしあなたの会社がごく最近IPOしたばかりで、株価が跳ね上がっているのであれば、ここから先は読まなくていい。“福沢諭吉先生”を壺の中にでも入れて、必要なときは鷲づかみでもして使えばいい。そういう“バブリーさ”こそが、今の日本にとって最も必要なものだ。遠慮することはない。

 だが、そういう幸福に恵まれていないとしたら……。加えて、宝くじに当たったり、巨額の遺産が転がり込んでもいないのだとしたら、「収入」は毎月のサラリー(とちょっとしたアルバイトなどの合計)であり、「支出」はその中でやりくりをしなければならない。どこかでムダをすると、別のところでムリが来る。そんな毎月を送っているはずだ。かくいう筆者もその一人である。

 「なんとかしなくちゃなー」とは誰しも思っているはずだ。だが、その「なんとかする」への一歩が意外と重い。結局アバウトな資金管理になって、給料日前になると「あれ?」っていう話になったりする。

 結婚すれば、家計管理もしっかりするだろう……なんて甘えていてはいけない。相手が自分以上にドンブリ勘定だったりする場合(ウチの話だ)も多いし、きちんとしているならばしているで、すべての主導権は相手に取られてしまうからだ。

 加えて、結婚して子どもが生まれたりすれば、やがて「教育費」という名の重い負担がのしかかってくる。今にして思えば、よく自分の親が払ってくれたものだと思うが、これがハンパな額ではない。わが家についていえば、子どもがちょうど中学受験にさしかかっていて、毎月の塾代はもちろん、運良く?受かれば入学金に授業料にと、固定でかなりの金額が出て行くことになっている。いきなりン百万円を納入しなくてはならない私立だってあるのだ。

 妻はこれを最も簡単な方法、すなわち、“夫のこづかいを減らして教育費に振り向ける”で乗り切ろうとしている。確かに何も考えなくていいし、自分のフトコロは痛まない。だが、筆者にとっては痛恨の一撃である。それも今後10年近くに渡ってその状態が続くのだ。とうてい見過ごせない事態である。自分のこづかいを減らさずに、必要な資金を捻出できないものか――こういう時、力強い味方になってくれるツールが、「MS Money2005」(以下、Money)である。

収入と支出を洗い出す

 まず、必要なのは、現時点での支出・収入・資産を洗い出すことだ。例えば定期的な支出は、「入出金予定」−「入出金予定の一覧」から「新規」ボタンで「定期的な支払い」を選択すると、入力画面が表示される。

 支出ではある程度決まって出て行くものはきちんと入力する。例えば、住宅ローンや授業料のように固定の金額で出て行くものは、その金額を入力し、「毎月」を選択。支払日などの項目を埋めると、それが予定として入力される。各種の税金や電話代、電気代などは過去の実績からおおよその額を決める。金額については「固定した金額」以外に「金額が不定のため概算値を使用」「過去の取引に基づいた概算値」などが選択できる。特に後者は季節変動の大きい電気代などに便利だ。

「定期的な支払い」の入力フィールド。このあたり、基本的には家計簿ソフトに近いが、随所に企業のP/LやB/Sを出しているような感覚があって、家計簿ソフトにありがちな男性ユーザーへの違和感はない。また、資産を“長期的な視点”が見られるのがMoneyらしいところ

 教養娯楽費や交際費など毎月不定の数字については、レシートを見ながら内容を選択する。一見めんどうな作業だが、費目などはプルダウンメニューからの選択なので、意外とすいすい進む。ここで手を抜かないことが、後々の予算作りに役立ってくる。収入などの項目についても、同様に入力する。収入・支出の予定は、カレンダーとして表示することができる(収支管理についての詳細はこちらのページを参照)。

カレンダー機能。支払い日は、入金を忘れないよう、当日ではなく、何日前と設定できる

 これが済んだら予算の策定だ。というと大変そうだが、作業はウィザード風に進んでいくので、MSのソフトに慣れた人ならお遊び感覚でできる。具体的に言うと、収入項目を入れ、次に支払い項目に含める項目を選択(「すべて選択」でかまわない)。すると項目別の予算の入力画面になる。過去分の入力が済んでいれば、“平均の支出”として表示されるので、これを参考にして決めればいいだろう。数字は直接入力しても良いし、プルダウンで表示される電卓を使っても良い(このあたり、芸が細かい)。

毎月の予算を入力する。ちなみに「夫のおこづかい」は予算費目の選択時に追加しておいたもの

 よく見る「お気に入りの費目」を決め、完了すると、これで「予算の概要」が表示される。加えて、 前回紹介した金融機関の自動明細ダウンロードなど、金融機関の残高情報を含め、自分の(現時点での)資産状況を入力しておけば、資産全体の動きも見ることができるようになる。

「予算の概要」が完成。これで実際の支出と比較できるようになる

戦略を立てる

 では、こうしてデータを入力すると何ができるのか。

 Money自体は“勝手にお金を増やしてくれるソフト”ではない。しかし、家計の収入/支出や資産状況をさまざまな形で表示し、予測などを可能にしてくれる。ゴチャゴチャしていたものが整理され、何をなすべきか、というステップに移行できるわけである。

 しかも、作業は“ゲーム感覚”といっていいほど面白い。ほとんどシミュレーションゲームである(ちなみに体験版をこちらでダウンロードすることができる)。

 入力したデータでどういった情報が得られるのかをイチイチ説明していたら到底書ききれないので簡単に説明するが、例えば、実績では純資産の状況や、毎月の支出・収入の状況、(その残余としての)貯蓄可能額、月ごとの支出の比較などが表示できる。こうしたデータをもとに12カ月後の生活資金の残高なども表示可能だ。

毎月の収支状況をさまざまな形で表示してくれる(上が「月間の収入と支出」の円グラフ、下が「エンゲル係数」
12カ月の生活資金残高の表示

 子どもが私立に入学した場合の学費のように、かなりの増額が予想されるものについては、それを入れて予算を組んでみて、現状の生活(支払い)で大丈夫なのかを検討してみる。

 そこで最初にビックリするのは、おそらく、“いかにムダな支出が一杯あるか”だろう。これは、こうやってきちんと整理してみて、はじめて気が付くことである。まずは、それをそぎ落とすだけで、毎月の余剰金はだいぶ違ってくるはずだ。ついで、予算の枠組みを検討し、支出が収入をオーバーしているようであれば、重要でないものから減額する。

 また、金利の高い借入などについては、無理でない程度にさっさと返してしまったほうが得策だ。これについては「借入返済プランナー」というシミュレーターで、有効な返済計画をいろいろ試すことができる。

高い金利のものから借金は返したほうが得。「借入返済プランナー」で無理なく賢い返済計画をシミュレートできる

 あたりまえだが、ここでポイントになるのは、特別な支出のない月は、基本的に毎月の採算をプラスにすることだろう。営業キャッシュフローが継続的にマイナスの企業が長期的に存続できないように、毎月の家計で「収入マイナス支出」が定常的に赤字では、いずれ火の車になることは間違いないからだ。

 例えば子どもをある私立に進学させることで、予算(ないし生活資金)にあまりに多くのゆがみや無理が生じるようであれば、そもそもの計画に問題がある、ということになる。家計に影響を与える計画が、無茶かそうでないかを判断する材料も提供してくれるわけだ。

 もう一つのMoneyの効果は、“なんとなく支出していた項目”を見直すきっかけを与えてくれることだろう。

 筆者の場合、例えば住宅ローンなんかがそうだった。現在借りている金融機関で返し続けたほうが得なのか、他の金融機関に借り替えたほうが得なのか。あるいは、手持ち資産を取り崩しても、早期返済してしまったほうが得なのか――。

 これはアタマの中では考えていても、実行に移すのはなかなか面倒くさいものだ。だが、Moneyで視覚的に見てしまうと、その影響の大きさに気が付き、やってみようという気になる。家計に関わることが苦にならなくなるのだ。

「借入返済プランナー」を使えば住宅ローンや自動車ローンの返済シミュレーションもできる

 この“Money感覚”とでもいうものが身に付くことが、実は“Money”の最大の効果かもしれない。実際、他の金融機関に見積もりを出してもらったところ、借り換えをしたら、金利が低く、借り換えコストを払っても支払い総額が減少することが分かった。住宅ローンとなるとその差は小さくない。借り換えによって毎月の返済額を減らし(毎月の剰余金を増やし)、借入総額を減らすこともできた。

 ちなみに、Moneyには、こうした長期的な視野に立って、将来的な資金計画(老後の蓄えなども含め)を立てるための「ライフプランナー」というシミュレータ機能も持っている(「ライフプランナー」についてはこちらのページを参照)。

「ライフプランナー」で、将来的な資金計画を立てる。フィナンシャルプランナーに相談するような感覚だ。実際、こうやって自分なりのベースの計画を立ててから、専門的なことについてフィナンシャルプランナーに話を聞けば、より効果的だろう

 ここまでは、既存の資金を上手に管理するための、どちらかといえば“守り”のMoney活用法を説明してきた。次回は、より“攻撃的”な、賢い「資産運用ツール」としてのMoney活用法を考えていこう。

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企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia Biz.ID編集部/掲載内容有効期限:2004年12月31日