時代を創る“衝突”を――SFC Open Research Forum 2008

時代を動かす人々が出会って“衝突”し、新しい何かを生み出す――慶應義塾大学SFC研究所が主催する「SFC Open Research Forum 2008」は、研究者やパネリスト、来場者がぶつかり合う仕組みを用意し、次の創造につなげる。

» 2008年11月06日 10時00分 公開
[PR/ITmedia]
PR

 時代を動かす人々が出会い、“衝突”し、新しい何かを生み出す――慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)のSFC研究所が主催する「慶應義塾大学SFC Open Research Forum 2008(ORF2008)」が、11月21日(金)、22日(土)に、六本木アカデミーヒルズ(六本木ヒルズ40階、49階)で開かれる。テーマは「clash of eXtremes」。“極限同士の衝突”だ。

 前回の「toward eXtremes ―未来創造塾の挑戦―」から発展。極限同士がぶつかり合うことで化学反応を起こし、新たな創造につなげるという意味を込めた。セッションのパネリスト、来場者、研究者――すべての参加者がぶつかり合う仕組みを用意している。

 セッションには夏野剛特別招聘教授(大学院政策・メディア研究科)や楽天の三木谷浩史社長など、今まさに時代を動かしているビジネスパーソンを招いた。セッション後には、来場者とスピーカーがざっくばらんに話せる場を設け、出会いと“衝突”を支援する。

 研究者同士が“衝突”するための新しい展示方法を取り入れる。その名も「スーツケース・デモ」。固定された展示パネルで展示するだけでなく、研究内容をスーツケースに詰め込んで歩き回り、さまざまな場所でプレゼン。研究プロジェクト同士を“衝突”させ、新たな創造を生み出していく。

 ORF実行委員長である環境情報学部の中村修教授に、ORFの見どころやSFCの役割などを聞いた。

慶應義塾大学環境情報学部 中村修教授

――ORFとはどんなイベントでしょうか。

 SFCを中心に行っている研究を、世の中の人に広く見せることが目的のイベントです。SFCの特徴は「実学」。10年後や100年後をみすえた研究だけでなく、今の世の中を動かし、変えていく学問を、第一線の人々とともに行っています。今まさに起きていることに対して、何をすればいいか――それを考えるのがSFCです。

 政治やビジネスのしがらみから離れ、ニュートラルな立場で判断するのがSFCの役割です。例えば政治家なら、あるべき政策を考える際に、「次の選挙で自分が勝てるかどうか」といったしがらみも考えなくてはならないかもしれません。ビジネスにもそういったしがらみがあるでしょう。

 しかし大学にはそのしがらみがありませんから、リスクを負いながら、中立的な立場から何をどうしていけばいいか考えることができます。リスクを取らないと世の中は変わりません。リスクを背負いながら世の中を切り開く――これは、大学が責任を持ってやるべきことです。

 SFCがリスクを負って研究した成果が、ORFを通じて、ビジネスや政治のキーパーソンなどと出会い、発展することがORFの狙いです。

――昨年のテーマは極限へのチャレンジを示す「toward eXtremes」だったのに対して、今年のテーマは「clash of eXtremes」。極限同士の衝突、というイメージでしょうか。

 わたしたちは、ある分野を突き詰めている人だけが世の中を変えられるとは思っていません。いろいろな視点で見るからこそ世の中は変わっていくのです。技術と政策と社会がぶつかり合い、初めて社会は変わります。

 例えば、2000年ごろに日本のITはドラスティックに変わりました。IT戦略本部では、村井純教授(環境情報学部)が技術面、竹中平蔵教授(グローバルセキュリティ研究所)が政策面を受け持ち、ブロードバンド普及率などの数値目標を立て、実現していきました。異分野の人々がぶつかって出会い、クラッシュ(衝突)することで、次が生まれるのです。

 今回はSFCだけでなく、竹中平蔵教授が所長を務めるグローバルセキュリティ研究所(G-SEC:Global Security Research Institute)や、メディアデザイン研究科(KMD:Keio University Graduate School of Media Design)とも共催し、学内をクロスオーバーしていきます。

――セッションやフォーラムの見所は。

 竹中教授と、前総務大臣の増田寛也さんや日本アイ・ビー・エム最高顧問の北城恪太郎さん、前日銀副総裁の岩田一政さんが、「グローバル時代の財政金融政策」と題したパネルディスカッションを行います。こんな豪華なメンバーがそろうのはSFCならではではないでしょうか。

 「次世代に“使われる”インターネットの設計 〜地域との融合と3つの開発キーワード〜」というセッションでは、WiMAXを地域インフラに使った取り組みについて、神奈川県藤沢市の海老根靖典市長と、國領二郎教授(SFC研究所長)、村井教授が語り合います。海老沢市長は地域活性化、村井教授はIT、國領教授は経済――と、まったく異なる分野の3人が議論します。画期的な新しい取り組みも発表できる予定です。

 楽天の三木谷浩史社長と、ビジネス界で活躍する夏野剛特別招聘教授(大学院政策・メディア研究科)、國領教授が参加する「イノベーションは止められない」というセッションでは、リアルビジネスで活躍中の2人を交え、次に向かって“仕込んでいく”ような議論が期待できるでしょう。

――セッション後は、パネリストと来場者がざっくばらんに話し合えるそうですね。

 ORFは来場者が超一流なのも特徴です。パネリストよりも名が通った人がいらっしゃることも多いですし、企業の第一線で働いているビジネスパーソンの方にも来ていただいています。

 ご来場頂いたみなさまが、講演者やパネリストとフランクに議論していただけるよう、それぞれの講演やパネルの後にセッション会場から移動して、展示会場のオープンスペースで30分間、議論の時間を用意しました。そこで講演者と来場者がもう1回ぶつかり、どんどんクラッシュしてもらって、新しいものが生まれる場になれば、と思っています。

――展示で行うという「スーツケース・デモ」とは何ですか。

 トラディッショナルなブース展示も行いますが、それだけではなく、展示同士を“クラッシュ”させるために、場所に依存しない展示方法――スーツケース・デモを発案しました。

 研究者は大道芸人のように、展示内容をスーツケースに詰めて歩き、適当な場所でプレゼンします。さながら「研究のセールスマン」です。

 その場所にほかの研究者がスーツケースでやってきて、「そういう研究を自分のこの研究とコラボレーションできるのでは」とプレゼンを始めるかもしれない。研究同士が衝突し、お互い自慢し合ったりけなし合ったりしながら、新たな創造を生みたいと考えています。

――展示の見所は。

 今まさに第一線で活躍している研究者の展示や、話題の最新技術に触れられます。例えば、JRの改札で実験が行われてた、歩く時の振動エネルギーを電気に変える「発電床」の研究や、生きた細菌にデータを保存するDNAメモリの研究もSFCのものです。

 au携帯電話のデザイナーとしても知られる坂井直樹さんもSFCのプログラム「エクス・デザイン」のメンバーで、「エコロジーコンシャスなライフスタイルのためのケータイ」というテーマで展示をする予定です。

 SFCには総合政策学部、環境情報学部、看護医療学部、大学院政策・メディア研究科、大学院健康マネジメント研究科と幅広い学部・研究科があり、今の世の中をどう変えるかを意識した最先端の研究を行っています。最新の研究成果から、明日のビジネスのヒントや、社会を変えるきっかけがつかめるでしょう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.


提供:慶應義塾大学SFC研究所
企画:アイティメディア営業本部/制作:ITmedia ニュース編集部/掲載内容有効期限:2008年12月5日