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» 2017年11月17日 10時00分 公開

「4万6200時間分の仕事を150時間で」──AIはビジネス活用の検討段階ではなく“実用段階”に入っている

[PR/ITmedia]
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photo 日本IBMのエリー・キーナン社長

 「AI(人工知能)は人間の代わりに働くものではなく、人と一緒に働くものだ」──10月27日に、ソフトバンクと日本アイ・ビー・エム(日本IBM)が開催した「AI Business Forum TOKYO」の基調講演で、日本IBMのエリー・キーナン社長はそう話した。

 コンピュータやインターネットの登場による第三次産業革命が起きた現代において、次に台頭するのは「IoT(Internet of Things)」「ブロックチェーン」「量子コンピュータ」「ニューロモーフィックコンピュータ(脳構造を模したコンピュータ)」「世界最小のコンピュータ」、そして「AI」のテクノロジーだとキーナン社長は見据えている。

 現代の社会を構成する、あらゆるデータの容量は“1年で現状の倍”にもなるスピードで増え続けているという。IoTの発展による影響も大きく、さまざまなログデータが爆発的に増えている。これら“ビッグデータ”活用の鍵を握るのは、間違いなくAIだ。

 米IBMが開発した「Watson」もAIに分類される技術の1つだが、Watsonと他のAIの違いは「データに対する姿勢」という。それはどういうことか。

社内の効率化に最適なAIは

 キーナン社長は、Google検索の利用件数を例にしながら、「世界では毎日、35億件の検索が行われている。しかし、検索できるデータは世界中に存在するデータの20%にすぎず、残りのデータは秘匿性が高くて外部からはアクセスできないデータである」と説明する。

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 Watsonが優れている点は、これら「秘匿性の高い80%のデータ」にアクセスし、誰もが閲覧できる20%のデータと合わせて結論を出せる点だ。企業内で利用する秘匿性の高いデータをWatsonに取り込むことで、企業が長い時間をかけて蓄積した知見を生かしながら、ビジネスの効率化に結び付けられるという。

 これが実現できるのは、あくまでも「ビジネス向け」を念頭に開発され、導入する企業のニーズに応じてカスタマイズできるWatsonの大きな特長である。

IBM Watson日本語版:米IBMが開発したコグニティブ・コンピューティング・システムを日本アイ・ビー・エムとソフトバンクが日本で共同展開するもの。AI(人工知能)と呼ばれることもある。


 ソフトバンクは、日本IBMと提携してWatson日本語版の提供を行ってきた。自身も社内でWatsonをベースとした対話型社員支援システム「SoftBank Brain」を業務に導入済みだ。他にも40の社内プロジェクトにWatsonを活用するなど、AIの導入に積極的な姿勢を見せる同社だが、その取り組みは社内だけにとどまらない。

 ソフトバンクグループ全体では、「ソフトバンク・ビジョン・ファンド」などを通じて、AIのビジネスを軸とする海外企業に投資を行い、国内でのサービス展開を目指すケースなども出てきている。

AIによる業務効率化の効果は

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 ソフトバンクはおよそ1万8000人の社員を抱えるが、今後、AIの導入がさらに加速すれば、同じ業務に必要となる人員は9000人になると確信しているという。AIの手助けによって、半分の人員で同等の仕事量が実現できるというのだ。

photo ソフトバンクの宮内謙社長

 基調講演に登壇したソフトバンクの宮内謙社長は、社内で4万6200時間かかっていた仕事が150時間に短縮できたと話す。Softbank Brainの導入で社内の高効率化を実現するなど、Watsonを使ったソリューションが既に実用域であるからこその自信の現れだ。

 「あらゆる業務オペレーションにAIが使えることを証明できたと考えている。新しいテクノロジーに少しでも乗り遅れると(利益を他社に)持って行かれてしまう。まずはどの部門でもいいので、実際にWatsonを使い始めることが重要だ」(宮内社長)

 AIとビジネスの現場では、「AIに仕事を奪われる」という話題も耳にする。宮内社長は、それを否定しようとはしない。従来の業務に携わる必要がなくなった人員は、別の新事業を行ってもらうという構想があるからだ。

 AIの導入により、仕事量に対して必要になる人員が減るのは明らかな事実。しかし、余った時間、人は必要がなくなった訳ではなく、さらなる社会の効率化を目指し、新たな分野に割り当てるべきとの考え方を持っている。

photo ソフトバンクでは、AIで営業活動の大幅な効率化に成功した

 Watsonには、手軽に導入できる45のソリューションパッケージが用意されている。チャットbotを活用した社内外の業務支援など、企業が抱える課題を短期間に効果があるものを厳選しているという。

 「ソリューションの開発テストには、業界のエキスパートを投入してきた。パッケージ化されており、あらゆる規模の企業に対応できるように作った。ぜひ実際に始めていただき、いち早く結果を享受してほしい」(キーナン社長)

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100億を上回る売り上げにもかかわらず、サポート件数は減少

 今回のイベントで強調されたのは「AIは“将来的に”ビジネスの現場に入り込むというより、既にビジネスで利用できる製品のかたちに落とし込まれ、各業界に広まりつつある」という事実だ。ソフトバンクの久保渉氏(AI事業推進部 プロフェッショナルセールスマネージャー)は、事例を挙げながら次のように説明する。

 現状、ビジネスで活用できるAIは、まなみさんのようなチャットbotに代表される「自然言語系」、画像の分析から結果を導く「画像分析系」、いわゆるビッグデータを元に高度な推測を可能にする「数値系」の3つに分類できる。

 不動産大手の大京は、テキストで自然言語による会話を可能にするチャットbotサービス「hitTO」を社内のITヘルプデスクに導入した。以前は、顧客からの問い合わせは全てオペレーターが対応していたが、現在はその前段階としてチャットbotを配置。これにより、全体の有人対応業務のうち、46%が削減できたという。

 通信販売大手のアスクルも、AIを業務に導入する企業の1つ。同社の運営する個人向け通販サイト「LOHACO」では、同じくチャットbotの「まなみさん」を顧客からの問い合わせに活用し、ビジネスの効率化を図っている。

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 今後は「まなみさんをより人間らしくパーソナルな対応ができるチャットbotに成長させたい」と担当者は話すが、すでに導入した効果は表れているという。2012年から、毎年100億円以上も前年を上回る売り上げを計上しているのに対し、問い合わせ件数は横ばいか、わずかに減少傾向にあるという。これは、オペレーターに取り次ぐことなく、まなみさんの段階で疑問を解決できるユーザーが相当数いることを示しているといえる。

 画像分析系のAIを元にしたサービスを提供しているのは、カー用品販売大手のオートバックスだ。同社が行ったアンケート調査の結果、プロによる自動車の点検を全くしないドライバーは全体の3分の1にものぼるという。その理由として多いのが「面倒」「お金がかかる」「時間がない」の3つだ。

 同社は、もっと手軽に愛車の安全点検をしてほしいとの考えで、11月1日からIBM Watson日本語版の画像認識技術を組み込んだWebサービス「タイヤ安全点検」の提供を開始している。

photo タイヤの写真を送ると、画像分析で状態をチェックできる

 スマートフォンやタブレットでユーザーが撮影したタイヤの画像をアップロードすると、その摩耗度合いを3段階で表示するというもの。Web上でそのまま近くのオートバックス店舗を案内し、顧客獲得に結び付けるのが狙いだ。

 これからAIが活躍する場所はさらに広がっていくという。例えば、大量のデータを分析し、ビジネスに活用できる形式に落とし込む金融業界の「データサイエンティスト」と呼ばれる数値分析系の職種は、AIの最も得意とする分野だ。

 雇用側目線で見れば、データサイエンティストは単価が高く、複数人を雇うとかなりのコストになってしまう。さらに、データの分析に取り掛かる前段階で“データを省略してしまう”という人間ならではの弱点もあるという。例えば、2010年から2016年までのデータを分析すれば十分と考え、それ以前のデータを加味しないといったものだ。

 AIの強みは、人が扱えば何十年単位もかかるようなデータを、数時間や数日という時間で正確に扱える点にある。

 久保氏は、データ作成から予測、検証まで行った結果を提示できるAIがビジネスの現場に導入されれば、データサイエンティストの役割は、自ら算出するのではなく、AIが出した結果を確認するようなものに変わると予測している。

AIのビジネス導入は検討段階ではなく、実用段階に

 このように、WatsonをはじめとするAI活用サービスがすでにビジネスの現場に入り始めている。「iPhoneが日本に入ってきて9年がたった。当初は『日本では受け入れられない』というムードもあったが、今では誰もが使い、ビジネスの現場が大きく変化した。AIはそれ以上の変化をもたらす」と、宮内氏は期待を寄せている。

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 2018年2月には、IBMとソフトバンクの協業スタートから3年が経過する。これまでに、ビジネス上の課題を解決するWatsonを使った45のソリューションが登場した。AIはわれわれが予測していたよりも早い段階で製品レベルの技術になったが、今後数年間で状況はまた大きく変わるだろう。AIの導入は検討段階ではなく、実用段階に入っている

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提供:ソフトバンク株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2017年12月16日

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