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» 2018年06月28日 10時00分 公開

あなたの社会的信用はAIが評価する時代に? 統計家・西内啓が語る「信用スコア」の可能性とは

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 AI(人工知能)があなたの社会的信用度を判断する──そんな時代が当たり前になるかもしれない。年齢、職業、年収、学歴、公共料金の支払い記録、ネットショッピングの決済状況、契約履行の履歴など、あらゆるデータから個人の信用をスコア算出する社会信用システムの試みが一部の国で始まっている。

 信用スコアは、個人のあらゆる素行を高度なAIや機械学習、クラウドといった技術で処理して算出しているという。データを細やかに記録、処理、管理できるようになった今の時代だからこそ実現できるこの仕組み。もしもこのトレンドが日本にもやってくるとしたら……?

 今回は、「あらゆるデータから人の信用を評価する仕組みは、データからその性質や規則性を見いだす『統計学』の考え方に近いのでは」という仮説を基に、シリーズ累計で40万部を超える『統計学が最強の学問である』(ダイヤモンド社)の著者である統計家・西内啓(ひろむ)氏に、AIを使った信用スコアによる社会信用システムの可能性や合理性を聞いた。

photo 統計家・西内啓氏

AI技術と統計学は似ている?

──今回は社会信用システムについてのお話を西内さんにお伺いするにあたり、そもそも膨大なデータを基に答えを推測するAIと、データから意味を読み取る統計学は近しいだろうという認識は合っていますか。

 そうですね、AIの第1次ブームと呼ばれる60〜70年代、そして80年代の第2次ブームでは、いずれも「コンピュータにロジックや知識を教え込めば、人間の知能をシミュレートできるはず」という研究が進められていました。しかし、いずれも行き詰まってしまいます。

 そこで80年代ごろから、統計学で使われていた確率や、データの中から一番当てはまるものを推定するといった概念が盛んに取り入れられるようになりました。GoogleのWebサービスなどで注目を集めているディープラーニング(深層学習)技術も、そうした考え方の延長線上にあり、裏側では統計学に近い数学的仕組みで動いています。

 一方で、AIと統計学で微妙な違いもあります。AIは人間が介入せずに「いい感じのものを勝手にやっておいてよ」というもの。仕組みや中身が人間には理解しづらいブラックボックスでも、正しい結果が出ればいい訳です。

 それに対して統計学は、「自分たちが興味のある結果に対して、原因がこれくらい関係しているよ」というものを探り出し、それに対処できれば世の中を良くしていけるのではという発想です。

 例えば、同じ電子カルテやライフログなどの健康データを扱ったとして、「この人はあと何年、生きられますか」「どんな病気になりそうですか」などをとにかく正確に推測しようというのがAIの仕事です。一方、「どうすればこの人がもっと長生きできるのか、運動したほうがいいのか、食事に気を付けたほうがいいのか──そういったものを考えていけば、もっと寿命が延びますよね」というのが統計学の考え方です。微妙に使い方が異なります。

AIで算出する個人の「信用スコア」は合理的か?

 信用スコアを既に取り入れている国と言えば、モバイル決済やシェアリングエコノミーなど、新しいテクノロジーの浸透が著しい中国だ。アリババの芝麻信用(セサミ・クレジット)を中心としたサービスが広まりつつあり、信用スコアによってクレジットカードの限度額や資金融資可能額が変化する。

 これらの取り組みは民間企業だけではない。中国政府は社会信用システムとして信用スコアを使い、国民が受けられる公的サービスの質の差を生じさせたり、公共料金の支払いが滞っていると公共交通機関の利用が制限されたりと、少々手厳しい政策も検討しているという。

 一方で課題もある。例えば「スコアのアップにつながる高額商品の購買履歴が手に入る」などとうたい、架空の取引を消費者に持ちかけ、手数料を取るようなケースだ。

──先ほどのお話で、AIが合理的な結果を導き出すものということがよく分かりました。その技術を使って個人の社会的信用スコアを算出する仕組みは合理的だと考えられますか。

 中国で普及しているサービスも含め、多くの信用スコアの算出方法は公開されていないと思いますが、「この条件を入れたら、こうなる」というのは、データを取ればハックできるでしょう。(スコアを算出する要素が)アンケート方式だと平気でうそをつく人もいるかもしれません。「犬を飼っていることにすれば信用が上がるらしいから、飼っていることにしよう」「趣味はクルーザーに乗ること、と書いておこう」などです。

 これはAI全般にもいえる課題と言えそうです。AIは基本的に「この先も続くとして、最適解はこれだ」という予測をします。大前提である「現状がこの先も続くとして」が変わってしまうと、一気に予測が外れてしまうリスクもあるでしょう。

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 現在の社会で普及しているクレジットスコア(=支払い能力に関する信用偏差値)は人の生き死にを左右するほどではありません。しかし、より高度な社会システムとして信用スコアを扱うなら、今後はうそをつきにくいような形で情報を収集する仕組みが必要です。

 また、仮に信用スコアを算出するアルゴリズム自体が不正確だった場合、「あのデータに基づいて融資したら、貸し倒ればっかりじゃないか」となって、自然にそういったサービスは淘汰されていくのではないでしょうか。

──利用者側の視点ではいかがでしょうか。

 信用スコアの基になるデータソースが本人の同意を得て参照されるという前提であれば、(信用スコアを活用するかは)本人にとってメリットがあるかどうかですよね。お金を借りやすくなったり、金利が下がったりするといったメリットを取りに行くか、データを出さないかは大人としての自由意志でしょう。逆にいえば、本人の同意が得られているのであれば、サービス側は何に使おうと自由なのかもしれません。

 例えば「お金を貸す」ということは世の中で大事な役割をしていると思います。18世紀半ばに技術が大幅に発達したり、大企業が生まれたりした産業革命は、技術の進歩だけではなく、金融が進歩した時期でもありました。

 理屈的に「こういうことをすれば大きく稼げそうだ」と、機械や商売のアイデアを思い付いても、金融という機能が社会にないと、生涯をかけてお金をためておじいちゃんになる頃にやっと工場を建てられる──なんてことに。それでは経済は発達しづらいですよね。従来は全くお金を借りられなかった、もしくは高利貸ししかいなかった世界に、近代的な金融が発達したことによって、現実的に返せなくはないぐらいの借り方、貸し方が少しずつ広まり、産業の競争力が生まれました。

 それと同様に、従来の方法ではなかなかお金を借りられなかった人が、「学費が欲しい」「商売を始めたいからそのスキルを身に付けたい」など、生産性に寄与するような投資欲が自分の中で湧き起こったとき、信用スコアの存在によって貸す側のリスクを低減できる(=貸しやすくなる)のならば、大きな意義があると思います。

信用スコアは日本で受け入れられる?

──真面目に生きている人ほど得をしそうな仕組みではあります。中国で浸透し始めている信用スコアですが、日本でもこういったサービスは受け入れられると思いますか。

 今後、信用スコアが普及する鍵というのは、融資ならお金を貸す側、もしくは信用情報を利用したい側が信用スコアを使うことで、“低リスクで、もうけられた”という成功事例が生まれることですね。これに追従する人たちが続々と出てくるでしょう。

 今、お金を貸す側は基本的に「お金を貸して利息がこれぐらい取れます」「これぐらいの確率で貸し倒れます」という2つが期待値として黒字になるところでお金を貸していると思います。住宅ローンの審査で職業や収入を答える欄があるのもその期待値を計算するためですね。ただし、これは同業者もみんなやっていること。もっと精密で、競合が知らない期待値の予測方法があれば、それがそのまま競争力になります。

 もし、信用スコアをもとにミドルリスクミドルリターンで新しい人たちに融資できるようになれば、ビジネスの可能性が広がりますね。信用スコアを構成する、今まで見過ごしていたデータを使えば、予測精度はさらに上がるはずです。

──中国政府のように、国が信用スコアの仕組みを取り入れるといったことも考えられますね。

 もし政府がスコアを使った社会信用システムを大規模にやるメリットがあるとしたら、金融面での流動性を上げられるかもしれないという点ですね。

 放っておいてもお金が貸されない状況は、要するに銀行などお金を貸す側が「あの人たちにお金を貸しても、返ってくるか分からない……」と考えていて経済社会でお金が滞ってしまっている状態。これが信用スコアという政府のお墨付きで、しかも確かなデータを使っているという話なら金融の流動性は上がる。これは政府が全面的に取り組んでもいいメリットなのかもしれません。

 金融以外では、婚活のマッチングにも適していそうです。もともと、知り合いの紹介だと「生活力がありそう」みたいなフィルタリングは自然と働くと思いますが、現代のように仕事が多様化してくる時代では、自分の所属するコミュニティーにいないタイプの職業だと、どれぐらいの生活力や将来性を持つ人なのか判断できないかもしれません。

 さらに、現状は個人の信用度を測るスコアですが、アルゴリズムを変えれば同じデータソースから自分と相性がよさそうな人を見つけ出すマッチングの仕組みも構築できるのではないでしょうか。

──日本国内では、みずほ銀行とソフトバンクが共同出資して立ち上げた合弁会社J.Score(ジェイスコア)のサービス「AIスコア」が登場しています。ユーザーが質問に答えていくと、個人の信用力と可能性を表すスコアが算出され、さまざまな場面で活用できるようになるというサービスです。実際に使ってみると、信用力を測るのに本当に必要なのかと思うような質問が出て不思議です。

photophoto J.Scoreには、「お持ちのゲーム機を全てお選びください」「いつもどんなテレビ番組を見ていますか?」など、ユニークな質問もある

 「現時点では(この設問に)意味はないが、今後関係性が見つかるかもしれないものは試しにデータを取ってみよう」という作りなのかもしれません。自分ならそう設計しますね。その中で、「意外と個人の信用力や可能性を測るのに関係しているぞ」という設問を見つければ見つけるほど、精度の向上につながるはずです。

 例えば、全体平均としては持っているゲーム機と信用がそれほど関係しないけど、友達とルームシェアしている人に限れば特定のゲーム機を持っているかどうかで大きく信用が予測できるとか、そういうさまざまな組み合わせの中で過去に借金滞納歴があるかなどのデータを照らし合わせていくと、「何%の確率で、この程度の額なら返済可能」みたいなことが提示できるはずです。

 教育系の調査で子どもの学力を測りたいとき、学力に関連性が強い親の学歴や所得といったデータも収集したいとします。しかし、子どもの学力調査なのに親の収入を聞かれると回答者に引かれてデータの抜け漏れになってしまうことも。そこで「住まいは持ち家か賃貸か」「家に漫画や雑誌を除いた本が何冊あるか」など、収入や家の教育レベルに関係しそうな質問を入れるなんてことをします。

 一見、本来の調査とは関係なさそうな設問でも、実は相関が強いみたいな設問をこっそり見つけておくと、調査の精度向上につながるわけです。

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勉強する人としない人で10年もの時代感覚の差が生まれる?

──J.Scoreの「AIスコア」は、中国などの社会信用システムとは似て非なるもので、自身の可能性を広げてくれるようなスコアです。個人の信用やスキルが判断されるとしたら、多くの人はスコアを上げたいと思うはずです。どういうことを意識するべきだと思いますか。

 スキルアップの観点なら、私はよく「鬼のように勉強するといい」と言っています。一番進んだ勉強というのは学術論文を読むことですね。新しい技術が出てきたときに、その基礎理論が頭に入っている状態から情報をアップデートする人と、2次3次の情報を取り入れる人では、10年くらい時代感覚の差があると感じています。この差で仕事の出来は大きく変わってくる。

 確実にデータ上でいえるのは、人も1つの資本であること。自分の人的資本に投資すればそのリターンは返ってきます。例えば、英語を話せるかどうかだけで、年収は100万から200万も変わる。同じ技量のプログラマーがいたとしても、英語が話せるだけで外資系でもスムーズに働けるかもしれない。英語が喋れないことが就職先の限界になることも考えられますね。

 よく社会に出てから(学校で習った)勉強が役に立たないという大人がいますが、大ウソだと思っています。私は受験生の頃や大学院生の頃が生ぬるく感じるくらい、今でも鬼のように勉強していますが、すごく仕事に役立っている。多くの社会人は最低限、自分が関係する周辺領域で興味のある専門書を少なくとも年間1冊きっちり読み通すだけで、大人の上位何%かの勉強度合いには入れるのではないでしょうか。ほとんどの人ができていないことはアドバンテージになると思いますね。

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社会的信用がスコアで判断される時代がやってくるかも

 個人の信用力をスコアで測る仕組みが、今後日本でも身近な存在になるかもしれない。そして、そのスコアが自身のスキルアップを手助けする強力な武器になる可能性も。自身が現時点でどの程度の信用力を持っているのか。スコアの算定だけならニックネームで使える「AIスコア」をまずは第一歩として試してみて、自分の信用力と将来の可能性を確認してみてはいかがだろうか。

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アイティメディア営業企画/制作:ITmedia NEWS編集部/掲載内容有効期限:2018年7月27日