CFカードの簡単な構造は以下のようになる。外部ピンとメモリの間にメモリコントローラーがあり、これが信頼性、寿命、転送速度と付加価値に影響を与える。

 Flashメモリーというものは、読み書きの回数に制限(おおむね10万回)がある。多くのCFカードではファイル管理にFATを使用しているため、メモリのアドレスとセクタ番号を素直に割り当てると、読み書き回数が極端に多いクラスタテーブルが真っ先に寿命に達し、メモリカードとしては使えなくなってしまうことになる。

 しかし、コントローラーがメモリアクセスを分散化することができれば、利用の平均化が図れ、寿命を延ばすことができる。さらに内部にメモリのエラー訂正方式であるECC処理を入れることによってメモリの部分破壊に対しても復元やエラー感知ができるので、信頼性が向上する。CFカードは電子回路のみで構成されているので衝撃にも強く、2000Gの衝撃にも耐えるという。先日、カメラが爆風に巻き込まれて粉々になったのにメモリカードはほぼ無傷で読み出しも行えたというプレスリリースが出ており、ITmediaでも記事になっているので見たことがある人も多いだろう。

 CFに使われているフラッシュメモリには主としてNAND型とNOR型があり、NOR型はランダムアクセスに優れているが、NAND型は書き換え速度が速く大容量化に向いているというメリットがある。大容量化の速度もプロセスの微細化によって順調に増えている。さらにひとつのセルに二つのデータを入れる多値化による容量増大手法、半導体パッケージに複数のチップを収納する容量増大手法も使われている。

 東芝/サンディスク陣営はNAND型メモリの容量を2000年以降、毎年二倍の容量増の成果を発表しており、今年の4Gbitチップの発表ではTSOPパッケージ内に二枚のチップを内蔵した8Gbit製品も同時に発表した。これはCF Type I内に4パッケージを収納すると考えると、4Gバイト製品が出せることを意味する。Type II製品としては他メーカーから12Gバイト製品がアナウンスされている。

高速・大容量CFカードのメリット、デメリット

 CFカードの速度向上も目覚しいものがある。速度をわかりやすい指標で示したのがレキサーメディアで、CD-ROMの速度(150Kバイト/秒)の何倍であるかというマーケティングを行っている。現在のレキサーメディアの製品では廉価版(8倍速相当)とハイエンドユーザー向けの40X/80Xがラインナップされている。同社によると、40X製品は6Mバイト/秒の書込速度保証、80X製品は12Mバイト/秒の書込速度保証がある。またサンディスクの高速製品であるUltra IIは書込み最大9Mバイト/秒となっている。高速アクセスを可能としているのはメモリが微細化によって大容量と共に高速アクセスを可能にしたことと、メモリとPCを結ぶコントローラーチップが高性能になったことに起因する。

 高速なメモリカードは転送速度が速いのは当然だが、どのようなシーンでメリットを実感できるだろうか? 特に大容量CFはデジカメで威力を発揮する。内部処理の高速なデジカメの場合はカードへの書き込みが早い場合、より多くのショットをこなすことができ、つまりシャッターチャンスを逃がさない。

 また、レキサーメディアの40倍速製品以上には、独自のWA機能が含まれている。これは一回の処理で書き込めるセクター数を最大32に増やしているもので、対応カメラならばより高速な転送が期待できる。

 CFは基本的にメモリの塊なので大容量になればほぼ容量に比例した価格となる。超大容量CFは出荷数が少ないので割高で、低容量CFはコントローラーなどの価格が無視できないのでやはり割高だ。対して、CFをもっとも使う利用シーンはデジカメで画素数が順調に増えていることもあって、一枚のあたりのファイルサイズも増えつつある。

 ここで注目したいのが内部がHDDのCF+カードだ。従来からIBM(現日立グローバルストレージテクノロジーズ)がMicroDriveの名前で発売しており、現在は1/2/4Gバイトのモデルが販売中だ。また、現在はライバルとしてGS MagicStorが2.2Gバイトモデルを販売し、近日中にSeagateが5/2.5Gバイトモデルで参入する(第三四半期)予定だ。この1インチHDDは小型機器でも使われており、最近流行の小型MP3プレーヤーにも内部にCFタイプのHDDが使われている。

 このようにHDDタイプは十分な容量を割安で実現できる。HDDタイプ固有の問題として耐衝撃性がCFよりも劣るが、基本的にデジカメ内など筐体に入れていればさほど問題にならないだろう。

速度はどの程度?

 読み書きの速度はカードの種類だけでなく読み取り環境によっても変化する。CF専用スロットを持つThinkPad X24を使って複数の環境で読み書きの性能を測定してみた。計測にはFDBench 1.01を使用し、PC内蔵のCFスロット、飛鳥のCardBUS対応アダプタ、USB 2.0対応のメディアリーダー(Meclo MCR-8U/U2)をPCのUSB 1.1経由で使用する環境でテストした。また同じメディアリーダーをUSB 2.0が使えるマシンでも測定してみた。

 使用したカードは高速CFの例としてレキサーのx40 512MバイトとHSGTの4Gバイト MicroDriveを使用し、参考として普及版CFカード(Buffalo RCF-X 256Mバイト)と2.2Gバイト HDDカード(ロジテックLMC-CFHD2G)も計測してみた。

 この結果を見ると、CF専用スロットやUSB 1.1では高速CFカードの転送は期待できず、カードの種類と速度はさほど変わらないことがわかる。つまり、少なくてもPC上でCFカードの読み書きを速くしたい場合は飛鳥のCF32AのようなCardBus経由のリーダーを使うか、USB 2.0のメディアリーダーを使うのがよいといえるだろう。

 同じことはデジカメにも言え、JPEG化や記録の遅い入門デジカメの場合は高速CFを購入してもさほど効果が感じられないだろう。逆にメディアが高速ならば連写枚数が多く撮れるデジカメには高速製品が向いている。ただ、最近は各社とも高速記録タイプに力を入れており、価格差が普及版と大差ないこともある。

 画素数が多いデジカメには大容量タイプが欲しい。特に一眼デジタルカメラの場合はRAWモードが使用できるため、場合によってはHDD使用のCFも考えるとよいだろう。

メモリ
サイズ
RW Read Wrute RandomR RandomW Copy 2k 32k 256k 512k
ThinkPad X24:内蔵CFスロット
256M 1040 1309 1047 1285 520 688 52 426 1007 1269
ThinkPad X24:飛鳥のCardBUS対応アダプタ経由
256M 1503 1679 1381 2172 779 851 57 537 1231 1579
ThinkPad X24:USB 1.1経由のUSB 2.0対応メディアリーダー
256M 802 936 883 936 454 499 23 235 718 1019
Pen4 1.6A + NEC USB 2.0 board:USB 2.0経由のUSB 2.0対応メディアリーダー
256M 2538 3362 2271 3358 1160 1400 56 711 2099 2734
メモリ
サイズ
RW Read Wrute RandomR RandomW Copy 2k 32k 256k 512k
ThinkPad X24:内蔵CFスロット
512M 1065 1367 1135 1262 498 544 14 183 750 1229
ThinkPad X24:飛鳥のCardBUS対応アダプタ経由
512M 3657 5138 3257 5084 1149 1118 14 221 1324 2913
ThinkPad X24:USB 1.1経由のUSB 2.0対応メディアリーダー
512M 596 935 349 936 163 262 6 90 365 584
Pen4 1.6A + NEC USB 2.0 board:USB 2.0経由のUSB 2.0対応メディアリーダー
512M 2533 4738 473 4707 214 391 8 120 530 907
メモリ
サイズ
RW Read Wrute RandomR RandomW Copy 2k 32k 256k 512k
ThinkPad X24:内蔵CFスロット
2.2GB 1106 1491 1269 1043 623 533 18 227 640 1249
ThinkPad X24:飛鳥のCardBUS対応アダプタ経由
2.2GB 2124 4484 1983 1127 902 762 18 246 787 1999
ThinkPad X24:USB 1.1経由のUSB 2.0対応メディアリーダー
2.2GB 449 936 33 811 17 63 4 38 83 126
Pen4 1.6A + NEC USB 2.0 board:USB 2.0経由のUSB 2.0対応メディアリーダー
2.2GB 1018 2801 34 1222 17 67 4 42 92 131
メモリ
サイズ
RW Read Wrute RandomR RandomW Copy 2k 32k 256k 512k
ThinkPad X24:内蔵CFスロット
4GB 1115 1516 1236 1085 625 622 18 243 863 1364
ThinkPad X24:飛鳥のCardBUS対応アダプタ経由
4GB 3141 6613 2184 2636 1132 1049 17 261 1323 2596
ThinkPad X24:USB 1.1経由のUSB 2.0対応メディアリーダー
4GB 734 936 803 781 416 446 16 186 621 960
Pen4 1.6A + NEC USB 2.0 board:USB 2.0経由のUSB 2.0対応メディアリーダー
4GB 2313 3594 2292 2197 1171 1037 19 282 1418 2431

小林哲雄,ITmedia]



一眼レフデジカメをよりキレイに扱う秘訣はRAWモードで撮影することだ。JPEGと異なり可逆圧縮であり、撮影後のパラメーター設定変更による画像加工がしやすくなる。記録サイズの大きいRAWモードデータのハンドリングの決め手となるのは、ロジテックのHDカードだ。

ハイエンドコンパクトデジカメや一眼レフデジカメでの高速連写・動画撮影に最適な「Ultra High Speed Xpert Series」がプリンストンテクノロジーより登場した。CFカードで読み込み7.6MB/秒、書き込み6.4MB/秒、低消費電力設計。