“Unlock”な「A8-3870K」でCPU倍率とGPUクロックをいじっちゃう:イマドキのイタモノ(2/3 ページ)
AMDが12月に投入した“KなLlano”には、オーバークロック機能が新たに加わった。2011年最後のイマイタレビューで、その最上位モデルを遊び倒す!
“定格動作”でCPUは100MHz分の向上なれどGPUは変わらず
定格動作で使う限り、A8-3870Kは、単なる“動作クロック向上モデル”なので、ベンチマークテストによる性能検証は主要な項目に限って測定している。実施したのは「PCMark 7 Build 1.0.4」、「Sandra 2012.SP1a(18.24)」、「CINEBENCH R11.5」で、トランスコード処理性能評価として、「Media Espresso 6.5」、3D描画ベンチマークテストとして「3DMark 11 Build 1.0.2」、「The Last Remnant」、そして、ワットチェッカーによるシステム全体の消費電力を調べた。比較対象は、従来モデルの「A8-3850」を用いている。
評価用システム構成 | |||
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CPU | A8-3870K | A8-3850 | A8-3870K(オーバークロック) |
CPU動作クロック | 3.0GHz | 2.9GHz | 3.5GHz |
マザーボード | ASRock A75 Pro4 | ||
チップセット | AMD A75 | ||
システムメモリ | G.Skill F3-14900CL9Q-16GBXL(DDR3-1866動作 4GB×2) | ||
SSD | Plextor PX-128M2P 128GB | ||
OS | 64ビット版 Windows 7 Ultimate Service Pack 1 |
PCMark 7の比較でA8-3870Kの結果は“微増”だった。CPUの動作クロックでいえば、A8-3870Kは約3パーセント向上しているが、これがそのまま表れたのは「Computation」の結果だけで、ほかは、0.5〜2パーセント程度の向上に留まる。CPU性能が影響するベンチマークテストで動作クロックの向上は効果あるが、従来モデルと仕様が変わらないグラフィックスコアやシステムメモリに関しては妥当なスコアといえるだろう。
Sandra 2012.SP1a(18.24)は、CPU演算性能で動作クロック通り、一部の項目で動作クロック比率以上となる5パーセント程度の伸びを見せている。この要因として考えられるのは、動作クロックの向上に合わせて2次キャッシュまでの内部メモリ帯域も向上したことが考えられる。これは「Cache and Memory」テストの結果でも確認できる。また、システムメモリに関するテスト項目でも、動作クロックに応じてスコアが向上した。
CINEBENCH R11.5も同様だ。両者ともグラフィックスコアの仕様は同じだが、CPUの性能がスコアに影響して、「Multi CPU」では5パーセント、「Single CPU」では7パーセントと、動作クロックの違い以上に高い伸びを示した。Media Espressoでは、3パーセントほど処理時間を短縮している。これはCPUの動作クロック比率とほぼ同じになる。
3DMark 11は、“Entry”と“Performance”を計測したが、測定結果の違いは誤差の範囲だ。統合するグラフィックスコアの仕様に違いがないから当然、ということもできるが、「Physics」テストで4.5パーセント程度の違いが出ている。The Last Remnantによるベンチマークテストの結果では、解像度1280×768ドットの設定において、0.1fps、1920×1080ドットの設定において0.04fpsの違いが出ているが、これも誤差のレベルだ。複数回計測していると、A8-3870KとA8-3850のスコアが逆転することもある。
消費電力では、アイドル状態でほぼ変わらない。一方で、CPUの高負荷状態では、約5ワット、GPUの高負荷状態では、約10ワットほどA8-3870Kで増えるという結果となった。
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