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苦戦するWindows 10スマホは「二つ折りケータイ」の進化系を目指す?鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)

Microsoft純正スマートフォン「Lumia」の販売終了が続く中、米特許商標庁に登録された新たなデバイスの姿が話題となっている。

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 Microsoft純正のWindows 10 Mobileスマートフォン「Lumia」が、2016年末ごろに海外のオンラインショップや店頭から次々と姿を消している。日本ではLumiaシリーズが販売されていないため、あまり話題になっていないが、海外では気が気でないユーザーも少なからずいることだろう。

 現在はミドルレンジ以下のモデルが販売終了の対象であり、ハイエンドモデルを中心に販売は継続されているが、MicrosoftのLumia事業が縮小傾向にあることは確かだ。市場動向に合わせて、米Microsoft Store(リアル店舗)では既にAndroidやiOSデバイスにフォーカスした展示コーナーも出現している。

Lumia 950
こちらは販売が継続しているMicrosoftのハイエンドスマートフォン「Lumia 950」(日本では未発売)
Microsoft Store
Microsoft Storeの結構なスペースを陣取るAndroidとiOSデバイスのコーナー。米カリフォルニア州パロアルトにあるStanford Shopping Center内のMicrosoft Storeにて2016年12月撮影

ハイエンドモデル以外のLumiaが消えていく

 複数の海外メディアが報道しているが、英国では「Lumia 550」、米国では「Lumia 650」と「Lumia 735」の取り扱いが終了しているようだ。

 一方でLumia 550/650よりも先行して投入された上位モデル「Lumia 950」および「Luma 950XL」は販売が継続されている。また、ミドルレンジモデルながら「Lumia 640」はバーゲン価格での販売が一部で継続されており、国によって取り扱い終了の製品が少々異なる。現在は移行期間にあるのだろう。

 ただし、このように取り扱いが次々と終了しているのはLumiaシリーズのみで、Acerの「Liquid Jade Primo」やHPの「Elite x3」、そしてミドルレンジ以下でもBluの「Win HD LTE」は米国での販売が続いている。それだけに、Microsoft自身がLumiaの事業から手を引き始めていることが目立つ。

Lumia
英国のMicrosoft Online Storeでは「Lumia 550」の取り扱いが終了している一方、ハイエンドモデルの「Lumia 950」および「Luma 950XL」、そしてサードパーティー製のWindows 10 Mobileスマートフォンは販売が続いている

 まだ全ての販売地域において、Lumia 950/950XLの取り扱いは継続しているが、これは過去の連載記事でも触れたように、「ハイエンドとエンタープライズの市場に注力」というMicrosoftの方針にのっとっている。これ以外の市場については当面、サードパーティー製品に任せるスタンスでいくようだ。

 調査会社のKanterが2017年1月に発表した最新レポートによると、米国におけるWindows Phone(Windows 10 Mobile)の2016年11月のシェアは0.8%と、3カ月ほぼ横ばいだ。恐らく値引き販売された既存端末が売れたとみられるが、新製品がほぼ投入されていない中でシェアを維持した点に驚いている(昨年同期比では減少しているが)。

Lumia
Kantar Worldpanel ComTechが2017年1月11日に発表した2016年11月のスマートフォンOS別販売シェア

 もっとも、幅広いユーザー層に訴求する必要があるコンシューマー市場を押さえておらず、今後新製品を投入する可能性も低いことから、将来的にシェアを伸ばすのは難しい。欧州では一部地域で数%のシェアを維持するなど比較的健闘しているが、スマートフォン市場のOSシェアでAndroidとiOSの2強が寡占する状況は避けられないだろう。

 しかし、Microsoft自身は最新版のWindows 10 Mobile Insider Preview(Build 15007)でモバイル向けの新機能を大量投入するなど、現時点でまだOSの改良を諦めている様子はなく、少なくとも今後1年ほどは低空飛行を甘受する意向なのかもしれない。

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