Windows 10の年2回アップデートで脱落していく旧世代PCたち:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(1/2 ページ)
最新版にアップデートすることでサポートも継続できるというWindows 10のWaaS(Windows as a Service)モデルだが、古いハードウェアは徐々に対応ができなくなっていく。
2017年はWindows 10大型アップデートの提供サイクルが3月と9月の年2回に固定された初めての年となる。この1年で2回目のアップデートに位置付けられる「Fall Creators Update(1709)」は、一般ユーザーに9月後半から10月初旬ごろに公開される見込みだ。
このMicrosoftが「最適化モデル(Current Branch)」と位置付ける一般ユーザー向けリリースの前段階には、Windows 10の開発に協力する「Windows Insider Program」参加者(Fast RingやSlow Ringなど)向けのリリースがあり、9月中旬までにはFall Creators Update相当のビルドが提供されるだろう。
WaaSのアップデートサイクルとサポートは続く
こうしたFall Creators Updateに関する状況が見えつつある。
5月開催の開発者向けイベント「Build 2017」で公開された新機能の多くが加わる一方で、以前のレポートでも触れた通り、「タイムライン」と「クラウドクリップボード」の2つの目玉機能がFall Creators Update配信のタイミングでは搭載されない。
Fall Creators Updateは「Redstone 3」の開発コード名でも呼ばれるが、ここに盛り込まれる機能は8月に入って最終決定され、それ以降は最終的な機能調整やバグ修正が中心になる。搭載が見送られた新機能は次のアップデートサイクルに回されるため、9月中には「Redstone 4」の開発ブランチが登場し、次の2018年3月の大型アップデートに向けた作業が続いていく。
MicrosoftはWindows 10において、最新アップデートを適用した状態を維持し続ける限り、新機能の入手やサポートを受け続けられる「WaaS(Windows as a Service)」の仕組みを導入しており、その前提で年2回の大型アップデートサイクルを設定している。
Windows 10では、継続的なアップデートでOSそのものを定期的に強化し、最新アップデートを適用すればサポートも続けて受けられる。Microsoftはこれを「WaaS(Windows as a Service)」と表現している
WaaSサイクルから脱落するデバイスとは?
しかし、これまで語られてこなかったが、WaaSサイクルから脱落するデバイスが少しずつ出てくることは問題だ。直近では、IntelのClover Trail世代のAtomプロセッサを搭載したPCに現大型アップデート「Creators Update(1703)」が適用できないことが話題となった。
Clover Trail世代のAtomプロセッサ搭載デバイスにおいてCreators Updateをインストールしようとしても、「Windows 10 is no longer supported on this PC」と表示されて失敗してしまうことがある
米The Vergeによれば、最終的にMicrosoftがCreators Update以降のアップデートで同世代のプロセッサのサポートを断念したことを認めたという。最新版Windows 10でのサポートに必要なドライバの提供をIntelが既に打ち切っており、動作パフォーマンスへの影響なしにサポートを継続するのが不可能だというのがその理由だ。
従って、同プラットフォームへのCreators Update以降の大型アップデートの提供は取りやめ、前回の大型アップデート「Anniversary Update(1607)」を最終版としてパッチを継続的に提供するモデルへと切り替えるという。
ただし、その場合のサポートはClover Trail搭載デバイスにプリインストールされていたWindows 8.1のサポートライフサイクルにのっとる形となり、同OSの延長サポートが切れる2023年1月にセキュリティアップデートなどの提供が終了する。
MicrosoftはWindows 10のサポート終了期限を明示しておらず、あくまでWaaSをコンセプトとして将来的な継続サポートを約束している(ソフトウェアを最新版に保つことが前提)が、古いハードウェアを中心に今後もこれが維持されるかは難しいことがClover Trailの件で判明した。
仮にClover Trailより後の世代のAtomプロセッサであっても、例えば「OneDriveフォルダのNTFS制限」にみられるように、スペック不足が理由で継続利用が難しいケースが出てくる。いずれにせよ、WaaSの恩恵をユーザーが最大限に享受するためには、可能な限り最新のハードウェアを導入することが求められるわけだ。
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