広がる「国産AI」活用事例 PFNの「PLaMo」にみる“ハマりどころ”
Preferred Networks(PFN)は、10月13日から16日まで幕張メッセ(千葉県)で開催された「CEATEC 2026」で、自社開発の大規模言語モデル「PLaMo」の活用事例を中心に展示した。
PFNはAI半導体「MN-Core」から基盤モデル、アプリケーションまでを自社で手掛ける垂直統合を掲げている。PLaMoはその中核にあるモデルで、海外のモデルをベースにせず一から開発している。
本記事では、PFNのブースで展示されたPLaMoの活用事例に加え、披露されたフィジカルAIに関するデモなどを紹介する。
デジタル庁・自治体でも利用
官公庁ではデジタル庁がPLaMoを使っている。政府向け生成AI基盤「源内」では、2025年12月からPLaMoベースの翻訳サービス「PLaMo翻訳」が使われており、26年3月には「PLaMo 2.0 Prime」が試用モデルに選ばれた。
Polimill(東京都港区)の行政向け生成AIプラットフォーム「QommonsAI」にも、PLaMoが搭載されている。QommonsAIは約800の自治体が導入しており、利用者はPLaMoを選択して使える。市民から寄せられる長文の意見を読む作業と、それに対する返信案の作成に活用できる。
法令分野に関しても、第一法規(東京都港区)が自社の法情報コンテンツを根拠に回答を生成する「ELDA」のβ版にPLaMoを使い、自治体向けにオンプレミス環境で動かしている。
官公庁や研究機関、製造業では、データを外部のクラウドに出したくないという理由で、オンプレミスでの利用を求める声が多い。エフサステクノロジーズのGPUサーバ「PRIMERGY」にPLaMoをあらかじめ載せ、社内データを使うためのアプリケーションと組み合わせて出荷する形もある。
大学入試の小論文を添削
教育分野の事例が、AI文章指導サービス「ろんじろう」だ。生徒が入力した小論文や作文をAIが1分ほどで添削し、具体的なアドバイスを示す。
プログラミング教育サービス「Playgram」を手掛ける社内の教育チームが小論文の指導をしている教員と一緒に開発し、26年3月に「AI添削 小論文対策コース」として提供を始めた。総合型選抜などで高校生が小論文を書く機会が増え、添削の需要が高まっていることが背景にある。
PLaMoは、論理がつながっているか、自分の実体験を交えて書けているかなど、教員の観点に沿ったフィードバックを担う。書き直した小論文を出すと、前回指摘した箇所が直っているかも確かめる。日本語で書かれた文章を日本語の文脈で読む能力が求められるため、PLaMoを使う意味が大きい用途だという。
一方で、どの観点で見るか、書けないときにどんな材料を示すかといった部分は、モデルではなくモデルの外側に作ったアプリケーションが担っている。モデルに任せる部分とアプリケーションで作り込む部分を分けて設計することが、この種の用途では重要だとする。
また大学におけるPFNのサービス導入も始まっており、滋賀大学は4月から全学生と教職員にチャットサービス「PLaMo Chat」とPLaMo翻訳を提供している。
AI面接の評価でも活躍
PFNの採用向けのAI面接サービス「タレスカAI面接」では、AIアバターが応募者と対話し、志望動機などを聞いて深掘りの質問をその場で生成する。面接後には総合点と指標ごとの評価、強みと弱み、評価の理由、次の面接官への申し送りをまとめて出力する。沖縄セルラー電話などが新卒採用に導入している。
新卒採用などの繁忙期は、大量のリクエストをさばくために「GPT」や「Gemini」のような海外モデルを面接の処理に使うこともある。一方、標準で用意する8つの基礎能力の評価にはPLaMoを活用している。
PFNは自社開発のモデルを利用する利点として、LLMの性能とユースケースの相性を理解しやすく、用途ごとにモデルを使い分けられる点を挙げる。例えば評価分析は、面接ほど即時性を求められず品質が重視されるため、PLaMoの強みが生きるという。
搬送ロボの自律動作デモも
画像と言葉を同時に扱う視覚言語モデル「PLaMo-VL」も展示した。「オレンジ色のものが入っている箱は何色か」のように、画像の中身と指示の意味の両方を理解しないと答えられない問いに、「青」と正しく答えられる。工場で作業者の手順を映像から認識し、改善点をレポートにまとめる用途を想定している。
PFN子会社のPreferred Roboticsが自律搬送ロボット「カチャカEvo」による実機デモも行った。家庭向けの「カチャカ」、クリニックなどで使う「カチャカプロ」に続き、10月1日に販売を始めた業務向け機で、最大100kgの荷物を運ぶ。
デモでは、指示された棚のところへ自分で移動し、持ち上げて運び、元の場所に戻すまでを自律的にこなしていた。台車や棚の下に潜り込んで持ち上げて運ぶ方式を採ったのは、工場では車輪をロックした状態で荷物を管理することが多く、けん引すると壊れるためとしている。
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