「o3」登場で近づく“AGI”実現──社会への影響は? 現行最強AI「o1 pro mode」に未来予測させてみた:小林啓倫のエマージング・テクノロジー論考(3/3 ページ)
米OpenAIが次世代の生成AIモデル「o3」を発表した。AGI(汎用人工知能)を評価するベンチマークでも高いスコアを獲得したこのAIは、社会をどう変えていくのか? 現時点でOpenAIの最強のAIモデル「o1 pro mode」に、未来を予測してもらった。
翻訳者も舌を巻く文章生成能力 o3への期待と不安
以上がo1 pro modeが行った「予測」の結果だ。前述の通り、内容には一切手を加えていないため、誤った情報が含まれている可能性についてはご容赦いただきたい。
筆者は洋書の翻訳も手掛けており、日頃からChatGPT系の日本語文章力の高さには舌を巻いているのだが、それでも今回の結果には驚かされた。よく見れば、ところどころ違和感が残る部分はあるが、日本語として十分に読み進められるレベルに達している。また今回は「3000字程度」に抑えるようにと指示したものの、その倍、6000字程度であっても破綻しない文章を作成してくれた。
推論能力についても、現時点でほとんど問題ないといえるのではないだろうか。冒頭で解説した通り、今回は事前知識の収集をDeep Researchに任せている。スペースの関係でその全文は掲載できないが、筆者からは追加のインプットは全く行っていない。その意味で今回の文章は、ほぼ生成AIが調査し、考え、まとめたレポートであるといえるだろう。
もちろん、及第点を取れるかどうかは与えるタスクの難易度による。今回は未来予測という、明確な正解のない(少なくとも現時点においては)作業であり、その意味でハードルは低かった。それでもo1 pro modeが出してきた回答は、及第点にわずかに届かない程度の「75点」であり、これを80点、さらには90点にまで引き上げられるかどうかは、AIを使う側のスキルやテクニックによると感じた。
o3がo1よりもさらに進化した、次世代の推論AIになるのであれば、最初から80点や90点を軽々と超えてくるのかもしれない。それに大きな期待を抱きつつ、一抹の不安も覚えた。
そんなAIが実用化された世界が到来したとき、ユーザーである人間の側には、高度な推論AIへのアクセス・それを使いこなす能力・結果を適切に使用する倫理観が求められるようになるからだ。AIとどう向き合うかによって、仕事や私生活に大きな差が生じる――いよいよそんな世界が来るのではないかと感じている。
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