会話中、相手の“ウソ”をこっそり教えてくれるスマートウォッチ AIが瞬時にファクトチェック:Innovative Tech(AI+)
ニュージーランドのオークランド大学やシンガポール国立大学に所属する研究者らは、日常会話の中で事実と虚偽を瞬時に判別するスマートウォッチを提案した研究報告だ。
Innovative Tech(AI+):
このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高いAI分野の科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
X: @shiropen2
ニュージーランドのオークランド大学やシンガポール国立大学に所属する研究者らが発表した論文「Factually: A Live, Wearable Fact-Checker」は、日常会話の中で事実と虚偽を瞬時に判別するスマートウォッチを提案した研究報告だ。
技術的な実装としては、大規模言語モデル(LLM)とWebリソースを組み合わせた事実確認メカニズムを基盤としている。音声認識技術により周囲の会話を検出し、その内容をシステムが分析。検出した発言や主張は、バックエンドの事実確認エンジンに送信し、そこでLLMが情報の正確性を評価する。このプロセスでは、信頼性の高いWebソースと照合することで、情報の真偽を判断している。
特徴的な点は、フィードバック方法にある。従来のシステムが音声や視覚的なフィードバックを使用するのに対し、Factuallyは触覚フィードバックを採用。具体的には、ウェアラブルデバイスを通じて振動パターンを利用者に伝える。
情報が誤りであると判断された場合、デバイスは特定のパターンで振動し、利用者に警告を発する。このアプローチにより、会話の流れを中断することなく、情報の正確性を確認できる。
Source and Image Credits: Michelle Wu, Praveen Sasikumar, Chitralekha Gupta, Shreyas Sridhar, Priambudi Lintang Bagaskara, and Suranga Nanayakkara. 2025. Factually: A Live, Wearable Fact-Checker. In Proceedings of the Extended Abstracts of the CHI Conference on Human Factors in Computing Systems(CHI EA ’25). Association for Computing Machinery, New York, NY, USA, Article 912, 1-2. https://doi.org/10.1145/3706599.3721346
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