Gemini Deep Think、国際数学オリンピックで金メダル
Google DeepMindのAI「Gemini Deep Think」が、2025年国際数学オリンピックに公式参加して6問中5問を解き、金メダル相当の成績を達成した。人間が介在せず、自然言語の問題から直接証明を生成した。OpenAIのAIも非公式ながら同等の成績を記録している。
米Google傘下のGoogle DeepMindは7月21日(現地時間)、同社のAIモデル「Gemini」の「Deep Think」が、2025年の国際数学オリンピック(IMO)に公式に参加し、出題6問中5問を解いて金メダルレベルのパフォーマンスを達成したと発表した。7月20日の公式による結果発表を待っての開示だ。
米OpenAIも19日、IMOに非公式に参加し、6問中5問を解いたとXにポストした。
IMOのグレゴール・ドリナー会長は発表文で「AIモデルの数学的能力の進歩を見るのは非常に喜ばしいことだ。しかし、IMOは使用された計算量や人間の関与の有無、結果の再現性など、手法を検証することはできないことを明確にしておく。われわれに言えることは、最も優秀な学生によって生み出されたものであれ、AIモデルによって生み出されたものであれ、正しい数学的証明は有効であるということだ。今年のIMOには112カ国から641名の優秀な学生が参加し、その中には42点満点を獲得した学生も5名含まれていた。皆さんのこれまでの努力と、その成果に心からお祝い申し上げます」と語った。満点獲得で世界ランキング1位に立ったのは、日本人の狩野慧志さんだ。
Google DeepMindは2024年には銀メダルレベルを達成している。「AlphaGeometry」と「AlphaProof」で参加したこの大会では、専門家がまず自然言語で問題をLeanなどのドメイン固有言語に翻訳し、証明も同様に行う必要があったが、今回はGeminiが自然言語でエンドツーエンドで動作し、公式の問題記述から直接厳密な数学的証明を生成した。
この成果は、Gemini Deep Thinkの進化版を用いて達成した。これは、並列思考を含む最新の研究手法を組み込んだ、複雑な問題に対応する強化された推論モードだと同社は説明する。「この設定により、モデルは単一の直線的な思考連鎖を追求するのではなく、複数の可能な解決策を同時に探索し、組み合わせて最終的な答えを出すことができる」。
同社はこのDeep Thinkモデルの新バージョンを、まずは信頼できるテスターに公開した後、「Google AI Ultra」プランで提供する計画だ。
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