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企業の“秘伝のタレ”をAI化 リコー、AIプラットフォーム「H.D.E.E.N」(ひでん)を発表

リコーは、企業向けAIプラットフォーム「H.D.E.E.N」(ひでん、仮称)を発表した。

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 リコーは12月8日、企業向けAIプラットフォーム「H.D.E.E.N」(ひでん、仮称)を発表した。企業特化のLLMを開発し、複数のRAG(検索拡張生成)やAIエージェントを組み合わせてタスクを遂行する環境を構築する。企業内の言語化されていない独自のノウハウ「秘伝のタレ」のAI化を目指す。

 H.D.E.E.Nでは、企業内のさまざまな形式のデータに対応するため、テキスト情報を参照するRAGのほかに、図表やグラフなどを読み込めるRAGを用意する。これらのRAGを活用して専門的なタスクをこなす複数のAIエージェントと、各AIエージェントを取りまとめる司令役のAIエージェントを構築。ユーザーの質問の意図を適切に理解し、企業内の情報をもとに回答するという。


H.D.E.E.Nの概要(提供:リコー、以下同)

H.D.E.E.Nを構成する技術

 H.D.E.E.Nは現在、各社へのソリューションとして複数の企業に先行提供している。リコーの梅津良昭氏(リコーデジタルサービスビジネスユニット AIサービス事業本部本部長)によると、クラウドサービスとオンプレミスの双方で提供中。2026年3月をめどに各社に必要な機能の選定などを進めている段階という。

 梅津氏は、H.D.E.E.Nを開発した背景として、顧客からリコーに寄せられた要望を挙げる。「RAGを導入したが、精度が上がらない」「図表にも対応できないか」といった声を受け、図表やグラフなどにも対応する複数のRAGを活用し、企業内のノウハウをもとにAIが回答できる仕組みを構築した。


H.D.E.E.Nにより企業内の暗黙知の活用を目指す

 H.D.E.E.Nの全体的な性能に関し、客観的な指標は出していない。個々のRAGの性能は既存のベンチマークで測れる一方、全体的な回答の精度を測るには「あまり良いベンチマークがない」(梅津氏)として、顧客の要望に対応できる範囲を示しながら導入を進めているという。

 なお、リコーは12月8日、米GoogleのオープンなAIモデル「Gemma 3 27B」をベースにした日本語LLMを開発したと発表した。オンプレミスでの導入を想定し、企業向けに提供する。また、エフサステクノロジーズが手掛けるAI向け基盤「Private AI Platform on PRIMERGY(Very Small モデル)」に、同モデルの量子化版と、AIツール「Dify」をプリインストールした製品をリコージャパンから販売する。

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