Google、AIエージェント「Gemini Deep Researchエージェント」発表 「Gemini 3 Pro」搭載で自律的調査機能を強化
Googleは、自律的な研究機能を持つAIエージェント「Gemini Deep Researchエージェント」を発表した。「Gemini 3 Pro」を推論コアに採用し、長時間コンテキスト統合タスクに最適化されている。複雑なWeb調査を自律的に行い、アップロード文書とWebデータを統合分析できる。開発者向けAPIで提供が始まり、今後はGoogle検索やGeminiアプリにも導入される見込み。
米Googleは12月11日(現地時間)、新たなAIエージェント「Gemini Deep Researchエージェント」のリリースを発表した。このエージェントは、開発者向けに新しく導入された「Interactions API」を介して利用可能になる見込みだ。これにより、「Googleの最も高度な自律的な研究機能」を直接アプリケーションに組み込むことが可能になったとしている。開発者は、「Google AI Studio」から取得した「Gemini API」キーを使用して、このエージェントにアクセスできる。
Gemini Deep Researchエージェントは、従来のGeminiのDeep Researchの概念をこれまで以上に強力になるように再構築したものであり、その推論コアには「Gemini 3 Pro」を採用しているという。Gemini 3 Proは、Googleのモデルの中でも最も事実に忠実であり、複雑なタスクでのいわゆる幻覚(ハルシネーション)を減らし、レポート品質を最大化するように特別に訓練されているとしている。
長時間にわたるコンテキストの収集と統合タスクに最適化されており、検索のためのマルチステップ強化学習をスケーリングすることで、自律的に複雑な情報環境を高い精度でナビゲートするという。具体的には、調査計画を反復的に立て、クエリを作成し、結果を読み取り、知識のギャップを特定して再検索を行うプロセスを実行する。Web検索機能も大幅に改善され、特定のデータを求めてWebサイトの奥深くまでナビゲートできるようになった。さらに、ユーザーがアップロードしたPDFやCSVなどのドキュメントと公開Webデータを統合して分析する機能や、構造やデータテーブルの生成を定義することでアウトプットを制御できる機能、主張に対する詳細な引用が提供される点などが特徴という。
性能面では、複数のベンチマークで高い成果を示している。特に、現実世界のマルチステップのWeb調査の複雑さを評価するためにオープンソース化された新しいベンチマークである「DeepSearchQA」で66.1%、「Humanity’s Last Exam」(HLE)の全体セットで46.4%という高いスコアを達成した。
Gemini Deep Researchエージェントは既に、金融サービス、バイオテクノロジー、市場調査といった高い精度とコンテキストが求められる分野の初期調査タスクで活用されている。今後は、Google検索、NotebookLM、Google Finance、Geminiアプリ内でアップグレードされる予定であり、エンタープライズ向けには「Vertex AI」への導入も進められている。
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