「部長はおられますか?」――間違いがちな言い回しを正す:一目置かせる「役割別ビジネス会話」
仕事に敬語は欠かせない。だが「部長はお戻りになられますか?」「課長は参られますか?」「次長、もしおりましたら」など、知らない間に使い方を誤っていることはないだろうか?
相手に一目置かれるための「役割別ビジネス会話」。意表を付く、感情と理性をバランスよく伝える、横から目線を意識するなど、さまざまなアプローチ方法がある。
ただアプローチは適切でも言葉遣いが不適切な場合、せっかくの効果が目減りする。社会人慣れしている今こそ、普段使っている敬語に誤りがないか確認しておきたい。
まず表現としての「友達言葉」は職場では慎もう。入社2年もたてば、敬語を使いこなせて当たり前。とはいえ日ごろから意識していないと、すんなりと敬語が出てこず、上司をイライラさせることもある。
上司 「先週頼んだ資料はできましたか?」
部下 「は〜?」
上司 「まだなんですね、いつごろできるの?」
部下 「お昼ごろまでには何とか……」
上司 「できるんだね」
部下 「はい、どうも」
こんな対話では上司から疎まれる。報・連・相を行うのは当然として、相手の立場に応じた言葉遣いも重要なのだ。
「おる」や「参る」は謙譲語、「お帰りになられる」は無駄使い
日常会話の中で、年配者でも間違えやすいのが「おる」「参る」である。自分をへりくだって言う時に使う謙譲語なのに、つい「○○さん、おりましたら……」とか、上司に対して「参られますか?」などと使ってしまいがち。こんな時は「いらっしゃいましたら」「おいでになりますか?」などの尊敬語を使おう。
ビジネスで頻繁に登場するのが接頭語の「お」と「ご」だ。「お(ご)〜になる」と使えば尊敬語、「お(ご)〜する」といえば謙譲語、単に名詞や形容詞につければ丁寧語。便利な言葉のようだが、むやみやたらに使えばよいものでもない。
「れる」「られる」でも同じことがいえる。慣れるしかないが、間違わないポイントは「お(ご)」を付けたら「れる」「られる」は付けないということ。覚えておこう。例えば「お帰りになられる」は過剰敬語で「お帰りになる」又は「帰られる」が正しい使い方。また、外来語や長い単語には「お(ご)」はつけない。
「お聞き及びですか?」「ご存知ですか?」――敬語を使い分ける
習うより慣れろ、というが、意識的に学ぶ姿勢がないとなかなか身に付かない。本社の社長と部長、支社のあなたの上司である課長……この3人に対して上手に敬語を使いこなせるだろうか?
例えば「来る」という動詞。初心者なら「いらっしゃる」一本で勝負するところだが、上級者なら「いらっしゃる」「おいでになる」「お見えになる」「お越しになる」とさまざまに使い分けることもできる。
「聞いている」という言葉も「社長はお聞き及びでしょうか?」「部長もご存知でしょうか?」「課長、聞いていらっしゃいますか?」と使い分けると、それぞれの上下関係でしっくりくる。
言葉としぐさは連動するといわれている。言葉遣いを律すると、物腰にも品格が出てくるから不思議だ。頭をフル回転させなければできない、としり込みせずにまずは言葉に出してみよう。やってやれないことはなし。ぜひチャレンジしてみては?
今日の“一目”ポイント
- 社会人として敬語使いは適切に。
- 「おる」「参る」は謙譲語。尊敬語として誤用しない。
(×)「おられますか?」→(○)「いらっしゃいますか?」
(×)「参られますか?」→(○)「おいでになりますか?」
- 「お(ご)〜(ら)れる」は過剰敬語。「お(ご)」か「(ら)れる」の一方のみに。
(×)「お帰りになられる」→(○)「お帰りになる」または「帰られる」
- 敬語表現は1つではない。「いらっしゃる」「おいでになる」「お見えになる」「お越しになる」など複数を使い分けるのも手。
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