確定申告シーズン到来――サラリーマンと個人事業主の税の違いを考える:大増税時代(1/4 ページ)
いよいよ確定申告の受付が始まった。とはいえ、多くのサラリーマンがそもそも確定申告とは何かよく分からないのが本音ではないだろうか。今回は確定申告の基本的な話から、個人事業主とサラリーマンの税金の違いについて触れる。
いよいよ確定申告の受付が始まった。2012年は3月15日が期限だが、それまでの間に確定申告という言葉はよく耳にすることだろう。受付開始日(2012年は2月16日)にテレビのニュースで芸能人やスポーツ選手などが「e-Taxは簡単ですね」といったコメントを述べる様子が目に浮かぶ。
筆者はサラリーマン時代、ほとんどの時期において確定申告とは無縁だった。一体何をするのかを考えたこともない。世の中の多くのサラリーマンが、当時の筆者と同じようによく分からないというのが本音ではないだろうか。
だが独立して個人事業主(自営業者)になると状況は一変。確定申告は避けては通れない年中行事となる。正直なところ「面倒くさい作業が来た」と思う今日このごろだ。高校時代に期末試験が近づいてきたときの心境に近いものがある。
サラリーマンの場合、所得税は毎月の給料と扶養家族の状況などを加味して天引きされている。例えば去年1年分の税金を考えてみよう。平成23年(2011年)1月にはその月の所得税を払って(納めて)いるわけだ。2月、3月……ボーナス、と天引きされ、12月に生命保険料なども計算して微調整(年末調整)をして平成23年の12月の給料で1年分の所得税の納付が完了する。
個人事業主の場合、平成23年の1月から12月まで商売をして、売り上げがいくらで、経費をどれくらい払って、利益がこれだけ残りました、という1年間の商売の結果を出し(確定し)、その申告を2月から3月の確定申告をもって所得税を納税する。要するに日本中の個人事業主全員が必ず行わなければならないのが確定申告だ。
ということで、確定申告の主役は個人事業主の人。ではサラリーマンは関係ないかと言えばそうでもない。サラリーマンでも年収が2000万円を越える人や、給料以外に20万円を越える所得がある人など一部の人は確定申告をする必要がある。医療費が10万円を越える人は確定申告をすることで払いすぎた税金の還付を受けることができる。
筆者が原稿を書き始めたのは2000年ごろで、サラリーマン生活を続けつつ徐々にその量が増え2005年には原稿料が20万円を越えた。訳も分からず確定申告をし、納税する方法も知らずほったらかしていたら督促のハガキが届き、慌てて振込に行った記憶がある。
2006年の年末に個人事業主として独立。2007年の年明けに青色申告ソフトを買い、税金関係の本を数冊読み、ブックオフで見つけた簿記の本は10ページほどで脱落。よく分からないまま青色申告ソフトに助けられ本格的な確定申告デビューをした(関連連載:「イチから分かる確定申告」バックナンバー)。
前回記事「意外と知らないサラリーマンの住民税、所得税とは何が違う?」で、平成19年(2007年)の税制改正で所得税と住民税の税率が変わったことを紹介した。原稿を書いている途中で「あれ、2006年=平成18年に独立してるってことは改正前?」ということに今ごろ気付き、当時の申告書の控えを見ると、確かに改正前の税率で計算していた(当たり前だが)。当時は税率すら知らず、全て青色申告ソフト任せで申告を済ませていた。今更ながら「青色申告ソフトはすごい」と思う出来事だった。
振り返れば独立した年の春には、独立することなどまったく考えていなかった。ということは、この記事を読んでいるサラリーマンも、もしかすると2012年の年末には独立しているかもしれない。筆者の場合、極めて無計画に独立してしまったが、その後税金に関する興味が湧いたこともあり、何も知らずに確定申告をした翌年にはこの誠 Biz.IDで税金の記事を書いていた。人生は何が起こるか分からないものだ。
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