正確に分かりやすく伝える――ビジネス文書の基本ルール:若手社会人のためのビジネス文書作成マニュアル(3/3 ページ)
ビジネス文書は、実用文でありコミュニケーションツールの1つです。読み手が誤解したり、推論する必要のないように書かなければなりません。まずは、独りよがりにならないための、相手にきちんと伝える基礎的な約束事を覚えましょう。
ビジネス文書の「段落構成」
ビジネス文書では、7〜8行くらいの段落の積み重ねで構成するほうが内容は伝わりやすいでしょう。
中見出し、小見出し、あるいは段落ごとに、「総論」→「各論」→「詳細」の順でまとめる癖をつけると文章がスムーズです。
例文
全社員に臨時賞与を支給することが決まった。上期業績において前年同期の150%増という大幅な達成率を計上できたことが要因である。新製品Aが当初計画より大きな売り上げの伸びを示したこと、既存製品Bのテレビ広告がヒットし、ユーザーのブランド・スイッチを加速させたことが、全体売り上げ増に貢献した。
まず、冒頭に「総論」つまり言いたいことを述べ、理由の背景を具体的な事例を挙げて紹介する(「各論」→「詳細」)と、読み手はイメージをつかみやすくなります。
独りよがりにならないための「文書構成」
右の図が、ビジネス文書を書く上での基本的な流れです。
まず認識しなければならないのは「人に読ませて理解させる」という大前提を常に念頭に置くということです。そして「客観情報(事実)の説明+自分の意見(解釈)の表明」がビジネス文書の構成の基本形です。主観情報ばかりの独りよがりの文書は読み手に信用されません。
「テーマの確認・吟味」は「何を、どのように書くか」をじっくりと検討することです。テーマが上から与えられたものであったり、定期的に提出する業務報告書のように、すでに書くべきことが決まっている場合でも「吟味」すなわち「論点を何にするか」は書き手が決めなければなりません。
次の「素材の準備・点検・仕分け」は書くべき内容の下地に使う素材、つまり「ネタ」の用意と、その「ネタ」が使えるかどうかを検証することです。例えば企画書の例ならば、アイデアの裏付けとなるデータ(客観情報)を示す場合、データは「事実に基づいた適正なもの」であるか、「そこに示されている数値は古いものではないか」「戦略を導く根拠となり得るか」などを十分に検証して使う・使わないを決めるということです。
「構成・組み立て」は素材を整理し、どのような流れで文書を組み立ててゆくか考えることです。この場合、頭の中だけではなかなか整理しづらいので「項目」や「要素」ごとにメモに書き出していくと分かりやすくまとめることができます。
私はシールの付いたタックメモを使いますが、貼ったりはがしたりするのが簡単で便利です。関係のある項目同士をひとかたまりにして順番を決め、議題の道筋を決めてゆきます。これをしないと、話があちこちに飛んだり同じことをまた述べたりと、表現に締まりのない文書になってしまいます。企画書などは特にこの作業が必要でしょう。
そしていよいよ「書き出し」の作業に入るのですが、ビジネス文書の基本は「結論」を先に置くことです。特に報告書はこの「型」が必須といえます。具体的な書き方に関しては次回で述べることにします。
POINT
- 主語・述語の関係が明確でない文章は非常に読みづらい
- 単文・重文・複文を上手に組み合わせて文章化すると、深みがあり説得力を持つ文書になる
- ビジネス文書は簡潔、すっきりが原則。だらだら文は読み手に嫌われる
- 文書作成の手順は(1)テーマの確認・吟味、(2)素材の準備・点検・仕分け、(3)構成・組み立て、(4)書き出し
本記事は、『月刊総務』2013年4月号「総務のマニュアル」より転載しました。
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