ネット上の「炎上騒ぎ」から個人情報が丸裸に:個人情報そのやり方では守れません(2/2 ページ)
飲食店のアルバイトが「暑いので冷蔵庫で涼んでみた」など、悪ふざけをした写真を投稿して問題になったことがありました。匿名ならバレないだろうと、気軽に考えてはいけません。これらは瞬時に拡散し、批判が浴びせられるだけでなく、責任も問われることになりかねないのです。
消したい過去もネット上に蓄積されていく恐怖
さて、炎上は、いずれ時がたてば終息はします。しかし、そんな行為をしてしまったという汚点が消えることはありません。
過去に起こした問題は、個人情報の一部としてインターネット上に半ば永久的に蓄積され、保存されてしまうのです。
ブログやSNSは一般的に利用されるようになってから、まだ10年足らずのサービスです。誰でも自由に情報を発信できるという楽しさや便利さばかりに注目が集まりますが、そこには一度、発信してしまった情報は「二度と消せない」というリスクがあることも理解しておいてください。
もし、ある人の過去を知りたいと思ったら、その人物の名前を、検索エンジンで検索するだけで、ある程度の過去が分かってしまうのです。
もちろん問題行為も記録として残ります。実際、過去の問題行為がネットの身辺調査で知られてしまい、就職内定が取り消された事例もあります。
また、自分自身の問題行為だけではなく、他人への誹謗中傷もいったん書き込んでしまえば、ずっとその記録も残ります。
もし、それが当人にとって身に覚えのない誹謗や誤解から生じた中傷だったらどうなるでしょうか。その人はネット上で永久に、いわれのない批判にさらされたままになってしまうのです。
こうした問題が発生しているのは日本だけではありません。欧州では、ネット上に流れた情報を消し去ることを要求できる「忘れられる権利」の必要性が指摘されています。
ブログやSNSは匿名であるため、悪ふざけで問題行為を投稿したり、軽い気持ちで他人への誹謗中傷を書き込んだりすることが多いようです。そういった情報もネット上で消すことのできない個人情報となってしまうことを意識しておくべきです。
さて、ここまでは、ブログやFacebook、mixi、TwitterなどのSNSを使うときに潜む個人情報漏洩のリスクについて紹介しました。
ただ、リスクがあるからといって、インターネットをまったく使わない生活は、現実的ではありません。大切なのは、そのリスクを理解し、正しく(できる限り)安全に使うということです。SNSにしてみても、あくまでコミュニケーションの1ツールにすぎず、それそのものが「危険」というわけではありません。
賢く使いこなせば、便利で楽しく、日々の生活を豊かにしてくれます。安全な使い方、セキュリティに対する意識をしっかり持って利用することが重要なのです。
同じようなことは、スマートフォンを使うときにも当てはまります。これまでの携帯電話とは異なり、通話だけではなく、インターネットや電子メール、FacebookなどのSNS、LINEなどの新しいコミュニケーションツールも使えるスマートフォン。さまざまなアプリをインストールして機能を拡充でき、新しい使い方もどんどん広がっています。それだけに安全で正しい使い方を理解しておくことが大切です。
※この記事は、2014年2月時点の各社サービス内容に基づいて執筆したものです
(個人情報そのやり方では守れません=終わり)
→連載「個人情報そのやり方では守れません」バックナンバーはこちら
著者プロフィール:
武山 知裕(たけやま・ともひろ)
國學院大学文学部哲学科卒業。パソコン専門誌の編集、ニュースサイトのディレクターなどを務めた後、企業向けIT関連保険の啓発活動を展開。2004年に専門メディアを設立。現在、「Security NEXT」編集長兼、運営会社であるニュースガイア株式会社代表取締役。情報ネットワーク法学会、日本セキュリティ・マネジメント学会会員。
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