まずは“病気”に気付くことから――五月病によく効く「フィードバック」:そのひとことを言う前に(2/2 ページ)
新人や若手社員がかかりやすいと言われている「五月病」。自分のチームメンバーが五月病かもしれない――というときは、どうすればいいのでしょうか。その傾向と対策、そして“絶対にやってはいけない”対応を紹介します。
失敗例A:“なんで”を使ってしまう
先輩: 「なんでそんなに元気がないの?」
若手社員: 「(なんでって言われても)……すみません」
過去の記事でも触れましたが、“Why”は言い方によって、相手を責めているようにも聞こえる単語です。相手が萎縮してしまい、場合によっては黙ってしまいます。特に「なんで仕事に集中できないの?」などという表現を使うと、怒っているようにも聞こえてしまいます。
失敗例B:第三者を使ってしまう
先輩: 「君が元気ないって、部長もみんなも気にしてるんだ。大丈夫?」
若手社員: 「(部長にまで知られてるんだ、どうしよう……)いえ、大丈夫です」
いろいろな人が心配している、ということで相手に気付かせようとしていますが、これではかえって当事者をますます追い詰めてしまいます。相手がいらぬ想像をしないように、見た目などの事実を単刀直入に伝えるべきです。
失敗例C:予想や想像で対応してしまう
先輩: 「(前の連休明けに風邪ひいてたな。今度もそうかも)ひょっとしてまた風邪? 体調管理は気をつけてね」
先輩: 「(そういえばこの間、彼女とうまくいってないって言ってたな。これは多分別れたね。そっとしておこう)」
基本的に予想や想像は外れることが多く、見当違いな対応になってしまいがちです。相手に「何を言ってるんだろう」と思われたり、場合によっては「全然分かってないな」とマイナスの印象を与えてしまいかねません。
成功例:具体的に事実を伝え、コミュニケーションのきっかけをつかむ
先輩: 「最近、表情が少しくもってるなって思って。何か体調悪いとか、気になることがあるなら、私でよかったら聞くけど、どうかな?」
このように、まずは若手社員に“自分の状態を客観視”するための手助けをしましょう。それをきっかけにコミュニケーションをとり、今感じていることや、悩んでいることなどを聞き出していきます。本音で話してもらうためにも、きっかけづくりのフィードバックを上手に活用し、話しやすい雰囲気を作り出すようにしてください。
話し合いのきっかけを作ったあとに、どのようにして悩みを聞き出すか、そして、どのように五月病から立ち直らせるかは、また次回に。
今回のまとめ
Q:ゴールデンウィークが明けましたが、なんだか若手のチームメンバーに気合いが入っていない人がいます。チーム全体も疲れた感じがしますが、どのように改善すればよいでしょうか。
A:まずは気合いが入っていないスタッフに“自分の今の状態を客観視”してもらいましょう。態度や見た目をそのままフィードバックしてあげるのが有効です。それをきっかけに悩みなどを聞き出してください。
著者プロフィール:岩淺こまき
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/ヒューマン・スキル講師
大手システム販売会社にて販売促進、大手IT系人材紹介会社にて人材育成、通信キャリアでの障害対応、メーカーでのマーケティングに従事。さまざまな立場でさまざまな人と仕事をし、「ヒューマン・スキルに長けている人間は得をする」と気づく。提供する側にまわりたいと、2007年より現職。IT業界を中心に、コミュニケーション・ファシリテーション・リーダーシップ、フォロワーシップ、OJT、講師養成など、年間100日以上の登壇及び、コース開発を行っている。日経BP「ITpro」で、マナーに関するクイズ形式のコラムを連載中。
- ブログ:「岩淺こまきの『明日の私を強くするビジネス元気ワード』」
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