多様な働き方の未来――「時間」「組織」「場所」を自由に選ぶという意思:30代からの「次の働き方」(3/3 ページ)
「多様な働き方の推進」は、その重要性が語られ、施策がとられつつあるものの、それほど進んでいない。それは「多様な働き方」という漠然とした概念で語られるからだ。
「柔軟に働く」ためのセルフマネジメント力
「オフィスに通わない働き方」は、通勤時間をゼロにする、その分の時間を効果的に使える、はたまた通勤時の交通機関での移動に伴うCO2削減に繋がるなど、個人にとっても企業にとっても、また社会にとってもよい点がいくつも挙げられています。実際に、テレワークを取り入れている人は「集中できる」「非拘束時間ができる」といったメリットをあげています(出典:「平成25年度テレワーク人口実態調査−調査結果の概要」)。
一方で、「過剰労働・長時間勤務化」「公私の切り分けが難しい」など、デメリットを挙げる人も少なくないようです。私たちが「多様な働き方」を実現し、生産性高く仕事を行い、ワークライフバランスも実現するためには、「セルフマネジメント力」がより求められることとなります。
また、クラウドソーシングは「自分がしたい仕事を、その都度選べる」というメリットがあります。都会を離れて地方で働くことには、多数の1人としてではなく、「自分ならでは」の貢献をよりリアリティをもって感じられるチャンスがあります。両者とも私たちの精神的な充足感を満たす働き方といえます。
一方で、クラウドソーシングであればその時々の不特定多数のネットワーク、Iターンであれば未知のネットワークに私たちは足を踏み入れることとなります。「会社勤め」の場合は、会社のブランドを背に仕事をすることができましたが、それができなくなります。私たち個々人としての仕事能力を高める必要もあるでしょう。
こうして考えると、時間、組織、場所などを選択できる自由の下では、自分自身の能力、意思などがシビアに問われると言えそうです。言い方を変えると、縛られていることで得ていたある種の「後ろ盾」と引き換えに「自由」を得、そのことで発生する「セルフマネジメント」が個々人に問われる未来が待っているのかもしれません。
著者プロフィール:入江崇介
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 主任研究員/ 2002年東京大学大学院総合文化研究科広域科学専攻にて修士課程(学術)修了後、株式会社人事測定研究所入社。アセスメント、トレーニング、組織開発の商品開発・研究に携わり、現在はマネジメント、リーダーシップ等に関する研究や実態調査に従事する。
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