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どんな仕事にも「加入儀礼」がある明日を変える働き方(2/2 ページ)

社会人になりたてのうちは、実際に仕事をするとその現実の厳しさに驚きます。しかし、それを乗り越えてこそ一人前。組織が求める「加入儀礼」をくぐり抜けてはじめて存在が認められるのです。今回は、2つの加入儀礼について紹介します。

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「集団への加入」と「仕事上の加入」


(写真と本文は関係ありません)

 この「加入儀礼」は現代の、さまざまな仕事においても形を変えて存在します。

 米国の産業組織心理学者、D・フェルドマンは、職場の加入儀礼には「集団への加入(グループ・イニシエーション)」と「仕事上の加入(タスク・イニシエーション)」の2つがあると述べました。

  • 配属先の組織になじみ、メンバーの1人として認めてもらうこと
  • 職場が求める課題に、一人前のメンバーとして仕事面できちんと貢献できること

 この両方ができないと、仕事の現場では半人前にしか扱ってもらえない、というのです。どちらが先になるかは職業によってさまざまですが、プライベートではどんなにいいやつでも、仕事ができなければ決してその場では認められない、というのは真実です。

 仕事において何かしらの悩みを抱えている人は、この「加入儀礼」のどちらかがまだ達成できていない、という状況にあることが原因というケースもあります。

 「今の自分は、職場のフルメンバーの1人として、受け入れられているか?」
 「今の自分は、メンバーに求められる仕事の課題に対して、きちんと応えているか?」

 そう自分自身に問いかけてみることで、客観的に自分の職場におけるポジションが見えてくるはずです。

 入社してすぐに「やりたい仕事をやらせてもらえない」「イメージしていた仕事内容と違った」と不満をため込む前に、この加入儀礼にあたるものを自分はクリアできているか、考えてみてください。

仕事の全貌を体験する

 前回紹介した広告会社に勤めるTさんは、チラシの仕事を任されましたが、これは彼の働きぶりを見ていた上司が与えた課題と見ることもできます。あるいは、Tさんのふだんの頑張りを知っていた先輩が「やらせてみよう」と思ったのかもしれません。

 Tさんはメンバーの1人として認められたからこそ、新しい課題を与えられたのです。そしてTさんはその課題をクリアするどころか、仕事へのやりがいを発見する転機とすることもできました。

 また、Tさんに与えられた仕事が、広告のチラシを最初から最後まで自分の考えでつくり上げるという「仕事の全貌を体験できるものだった」ことに、とても大きな意味があったと考えられます。

 経営学の組織行動論に、R・ハックマンとG・オルダムによる「職務特性モデル」というよく知られた理論と測定尺度があります。これは、仕事の性質そのものが、人をどの程度、動機づけるのに役立つかを診断できる指標です。

 その職務特性の測定次元の1つに、タスク・アイデンティティという次元があります。その仕事の全貌にかかわっているほど、やっていることの意味を感じやすく、仕事そのものがもたらすモティベーション効果が高い、ということが分かっています。

 →連載:明日を変える働き方 記事一覧はこちら

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