“オマエの態度、面白くないんだよ”――年上部下にこう思われてしまったら:上司はツラいよ(2/2 ページ)
年上の先輩が、仕事の上では部下になる――。最近では、こんな関係も珍しくなくなってきたが、両者の関係はなかなかうまくいかないようで……。こんなとき、年下上司はどうすればいいのか。
年上部下とうまくやるコツは
年上部下とうまく仕事を進めるには、どうすればよいのか。
うまく関係を築いている年下上司を観察すると、たいていの人が年上部下と丁寧なコミュニケーションをとっていることが分かる。会話する際には「さん」付けで呼び、「ですます」調で話す。椅子を勧めて目線の高さを合わせる――といったように、仕事の指示出しやフィードバックをする際に、年下の部下とは異なる気づかいをしているという人が多い。そういう丁寧な接し方をする年下上司と一緒に仕事をしている年上部下は、仕事に対するモチベーションも高い印象を受ける。
年上部下に限らず、職場で良い関係を築くのに大切なのは相手を“リスペクト”することだ。この場合のニュアンスは、“尊敬する”というより“尊重する”というほうが近い。
相手を尊重するには、“管理職とは何か”を改めて考えることも重要だ。「管理職」=「地位」と捉えてしまうと、つい自分は「偉い」と思ってしまうかもしれない。その結果、部下を「くん」付けしたり、ため口をきいたり、偉そうに指示を出したりしてしまうこともあるだろう。特に、若手のうちに管理職になり、早々に結果を出さなければと焦り、「威厳を示さなくては」などと考えてつい「偉そう」な言い方をしてしまう人もいるに違いない。
でも、「管理職」は、「地位」ではなく、「役割」である。上司の役割は、部下をその気にさせて主体性を引き出し、活躍できるよう環境を整え、総力を挙げて成果を出すことなのだから、年齢の上下にかかわらず、部下を「人として尊重する」ことが重要なのだ。
部下を呼び捨てやクン付けで呼んだり偉そうな物言いをしたりしていた人が、組織変更や役割変更で、ちょっと前まで部下だった人の下につくこともあり得る時代だ。そうなった時、偉そうな態度を取っていた人はどんな顔をするのだろうか。
部下が年上であろうと年下であろうと、互いに尊重しあえる関係を作ることが大事だ。年下、年上という年齢だけではなく、雇用形態もまちまちで、国籍や価値観なども多様な現代の部下と良い関係を築くには、相当気を遣う必要がある。そこが現代の上司のツラいところかもしれない。
著者プロフィール:田中淳子
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。
- 著書:最新の著書は「田中淳子の人間関係に効く“サプリ”」。ほかにも「ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック」(日経BP社)、「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)、「はじめての後輩指導」(日本経団連出版)、「コミュニケーションのびっくり箱」(日経BPストア)などの著書がある。
- @IT自分戦略研究所の連載「田中淳子の“言葉のチカラ”」はここから。
- シゴトに効く姉妹連載「そのひとことを言う前に」はここから。
- ブログ:「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」
- Twitter:@TanakaLaJunko
- Facebook:TanakaJunko
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