何を目指して働くの? イマドキの大学生に聞いてみた:「終身雇用」はお断り?(1/5 ページ)
雇用制度、組織、働き方、キャリア設計が大きく変わろうとする中、今年も2016年度新卒入社の採用がスタートした。デジタルネイティブ世代のイマドキの若者は、“働く”ことを意味をどのようにとらえ、どんな働き方を理想と考えるのか。2人の学生に聞いた。
この12月、いよいよ2016年度新卒入社の採用活動がスタートした。
年功序列や終身雇用を廃止する企業が増え、キャリア設計の方法や働き方が多様化する中、これから社会に出ていく若者は“働く”ということにどんな意味を見いだし、どんな働き方を理想としているのだろうか。また、自分が望む働き方を実現しているモデルケースをどうやって探しているのか――。
これからの“理想の働き方”を模索する人に、さまざまな気づきを与えるイベントが、毎年11月の勤労感謝の日に併せて開催されている。その名も「Tokyo Work Design Week(以下、TWDW)」というこのイベントは、ワークスタイル改革のショウケースともいえるもので、新しい働き方に挑戦している企業のキーパーソンが登壇し、その可能性や課題を語っている。学生の参加者も多く、今どきの若者が“働くこと”に高い関心を持っていることがうかがえる。
今回、誠 Biz.IDでは、TWDWの1プログラム「才能を探す。日本を代表するクリエイティブカンパニーの実践」を2人の大学生に聴講してもらい、その感想を通じて“今どきの若者が考えるこれからの働き方”を探った。
このプログラムのスピーカーは、デジタルプロモーションを手がける「バスキュール」の朴正義氏(代表取締役)、クリエイティブラボ「PARTY」の伊藤直樹氏(CEO)、マザーズへの上場を控えるWeb制作会社「面白法人カヤック」の柳澤大輔氏(代表取締役)というクリエイティブ業界のトップランナー。2人の大学生は講演からどんな刺激を受け、何を感じたのだろうか。現代に生きる若者を鋭く分析する電通若者研究部「ワカモン」の代表である吉田将英氏を聞き手に、彼らの「働き方」に対するスタンスをひも解いていこう。
講演で新しい発見は……なかった?
学生代表は一般社団法人Bizjapan所属の早稲田大学1年、徳江俊樹さん(左)とAGE STOCK実行委員会所属の慶應義塾大学3年生、佐藤愛莉さん(中)。聞き手は電通若者研究部「ワカモン」の代表を務める吉田将英氏(右)
――まずは、今回の講演の感想から伺えたらと思います。登壇者の話で特に共感したことはありましたか?
佐藤: 私は「大きなプロジェクトを新人に任せて成長させる」というエピソードを紹介していたPARTYの伊藤さんに共感しました(注1)。経営者という責任のある立場で、大事な業務を下に任せてフォローに徹するのは大変だろうな……と。共感と言うよりは、「こんな上司の下で働きたいな」と思いました。
注1:若手にあえて大きなプロジェクトを任せて自信を持つよう仕向けたという経験談。裏では若手が失敗しないように伊藤氏をはじめとするスタッフが、細かいところまでフォローしていた。
徳江: 僕は「気軽に入って、気軽に辞めていいんだよ」と話していた面白法人カヤックの柳澤さんの経営観に共感しました(注2)。あとは、バスキュールの朴さんの「会社がなくなっても、作ったものが残ればいい」(注3)という言葉も印象的でしたね。どちらも会社のトップでありながら、会社という形態に固執していないスタンスが柔軟でいいなと。
注2:カヤックの柳澤氏はスタッフが1つの会社で長く働くことに固執せず、自身の関心やキャリアパスに合わせて会社を移っていく働き方を推奨している。
注3:バスキュールの朴氏は起業した理由について「作りたいものを作るために必要だったから」と述べており、会社を「やりたいことを実現するプロジェクトチーム」として捉えている。
ただ、個人的には今回の講演の中で「新しい働き方」は見つからなかったように感じています。講演を聞く前は「今まで知らなかった未知なる働き方」を知ることができるかと思っていたのですが、話を聞いていて自然に受け入れられることが多かったです。
――その感覚はとても興味深いですね。2人のような20代の仕事に対する価値観って、上の世代にとってはあまり理解できていない部分だと思います。今日は、おふたりの「仕事・働くこと」についての考えを、いろいろ聞かせてください。
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