なんだかオレの輝きが薄れていく……? 管理職1年生が陥る病:上司はツラいよ(2/2 ページ)
管理職になったその日から、オレの輝きがどんどん失われていく……。そんな息苦しさを感じている人は要注意だ。この“管理職になりたての人が陥りがちな病”を直すにはどうしたらいいのか。
権限が増えればやるべきことも増える
もう1つは、管理職になって権限が増えたからといって、“やりたいことをのびのびとやれるようになるわけではない”ということだ。
それは、ある企業の課長が新任リーダーたちを前に話した経験談からもうかがえる。
この課長もヒラ社員時代には「管理職になったらあれを変えよう、これに挑戦しよう」と、いろいろ考えていたが、いざ、管理職になると、自分が考えていたことの何割も実現できていないという。
課長になったら、業務フローを大幅に変えようと思っていた彼だったが、いざ管理職になって他部署の課長と会議で同席するようになると、想像以上に困難なことが分かった。自部署の業務フローを変えるためにはいくつもの部署との調整が必要となり、そこには政治的な力関係もあれば、部長や事業部長などさらに上の立場の人の理解を得る必要もあったのだ。
もちろん、いろいろと権限があったほうが“大きなこと”を実現するまでのプロセスは少なくなるかもしれない。しかし、権限がある分、ほかのミッションも増えるので、大変さは“結局は同じ”どころか、増す可能性も高くなる。
管理職になると、プレイヤー目線をマネージャ目線に変えて考え、行動することが求められる。そうすると、当然、世界の見え方も大きく変わる。その中で、自分の実力を知り、理想と現実のギャップを感じることもあるだろう。
新任管理職は、そうした過渡期にいる“自分の中のもやもや”と折り合いをつけ、できることを少しずつ増やしながら一人前になっていく。
「プレイヤー」としての輝きではなく、「管理職」としての輝きを新たに見つけることができた時、ようやく「新任管理職」から「新任」が取れるのかもしれない。
著者プロフィール:田中淳子
グローバルナレッジネットワーク株式会社 人材教育コンサルタント/産業カウンセラー。
1986年上智大学文学部教育学科卒。日本ディジタル イクイップメントを経て、96年より現職。IT業界をはじめさまざまな業界の新入社員から管理職層まで延べ3万人以上の人材育成に携わり27年。2003年からは特に企業のOJT制度支援に注力している。日経BP社「日経ITプロフェッショナル」「日経SYSTEMS」「日経コンピュータ」「ITpro」などで、若手育成やコミュニケーションに関するコラムを約10年間連載。
- 著書:最新の著書は「田中淳子の人間関係に効く“サプリ”」。ほかにも「ITマネジャーのための現場で実践! 若手を育てる47のテクニック」(日経BP社)、「速効!SEのためのコミュニケーション実践塾」(日経BP社)、「はじめての後輩指導」(日本経団連出版)、「コミュニケーションのびっくり箱」(日経BPストア)などの著書がある。
- @IT自分戦略研究所の連載「田中淳子の“言葉のチカラ”」はここから。
- シゴトに効く姉妹連載「そのひとことを言う前に」はここから。
- ブログ:「田中淳子の“大人の学び”支援隊!」
- Twitter:@TanakaLaJunko
- Facebook:TanakaJunko
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 「上司はツラいよ」最新記事一覧
- 今、求められるリーダーになるために
「自分でやったほうが早い」は、チームを滅ぼす――上手な仕事の任せ方
「自分がやったほうが早い」と、つい仕事を“丸抱え”していないだろうか? しかし、それでは後輩は育たず、チームのスキルや経験値は上がらない。チームワークの落とし穴となる“丸抱え”を避け、上手に人に仕事を任せる方法を考えよう。
ファーストラインマネジャーは部下の成長で評価される
ファーストラインマネジャーというのは、現場の社員を統括するマネジャーのことを言います。会社によりますが、日本企業の役職でいうと係長、課長あたりが相当します。今回は、ファーストラインマネジャーとセカンドラインマネジャーの違いについてお話します。
「あー、この上司めんどくせ」と思っているアナタへ
異動や転職で新しい環境に移り、この人とは合わない、この上司とはうまくやっていける自信がない――と悩む人も多いのでは。今回は相手の性格や考え方を把握し、コミュニケーションをスムーズに行うメソッドを紹介します。
リーダーはメンバーに助けてもらうのが仕事
自分はリーダーに向いていないとあきらめるなかれ。スティーブ・ジョブズにはなれなくても、目的を達成するために上手にチームを動かすことはできるのだ。そのコツを伝授しよう。
部下を育てられない上司は評価されない――「全員リーダー」を実現するGEの人材育成法
世界最大のコングロマリット、ゼネラル・エレクトリック。変化の激しい時代でも成長を続けるコツは、人材育成にあるという。一般的な外資系企業のイメージとは異なる、GE流の人材育成、それを実現する文化と仕組みに迫る。


