5分で分かる、今週のモバイル事情:2月11日〜2月18日
ワイヤレス業界最大のイベント、3GSM World Congress 2005が仏・カンヌで開催され、各社の新製品や提携発表が相次いだ。また、ドコモの顧客情報2万4632件が流出した。
3GSM World Congress 2005、話題の中心は音楽携帯
2月14日から17日まで、ワイヤレス業界最大規模のイベント「3GSM World Congress 2005」が開催された。通信事業者や端末メーカーらが仏カンヌに集まり、各社の最新端末が発表された。
カメラ付き携帯が世界的にヒットしたのに続き、次のトレンドとなりそうなのが“音楽”(2月18日の記事参照)。
英Sony Ericssonは、音楽用途を意識した3G端末「Z800i」に続き、3月には初の“ウォークマン携帯”を披露する予定だ(2月15日の記事参照)。米Apple Computerと提携している米Motorolaは、Linuxベースの音楽携帯「E680i」を展示。韓Samsungも、3月に音楽携帯を発表するという。
またNokiaは、Microsoftと携帯向けの音楽配信で提携したことを発表した(2月15日の記事参照)。Nokia製携帯はWMAとWindows Media DRM(デジタル権利管理)をサポートし、WMA形式でエンコードされた音楽や、Windows Media DRMで保護された音楽を、Nokiaの携帯で再生できるようになる。
プラットフォームに関する発表もあった。米Microsoftは、Windows MobileをベースにGSM/GPRS携帯向けに設計した新プラットフォーム「Peabody」を発表(2月14日の記事参照)。またNokiaが米Macromediaと提携。スマートフォン用OSの「Series 60」にFlash技術が組み込まれることが明らかになった。(2月12日の記事参照)
3Gの高速データ通信方式、HSDPAが進展
3Gの高速データ通信方式「HSDPA」(High Speed Downlink Packet Access)のスケジュールが見えてきた。HSDPAは、下り最大14.4Mbps、平均速度2M〜4Mbpsの通信速度を持つ。現行のW-CDMA方式の進化系ともいえる通信方式で、W-CDMAのインフラにあまり手を入れずに導入できるのが特徴だ。
3GSM World Congress 2005の基調講演に登場したNTTドコモの中村維夫社長は、ドコモでは2006年にHSDPAを導入する予定であること、まずはデータカードから予定していることを明らかにした(2月16日の記事参照)。
2月14日、ボーダフォンもHSDPAのフィールド試験を開始した。ボーダフォングループの中で、フィールド試験を行うのは日本が最初となる(2月14日の記事参照)。
2万4632件の情報漏えい
2月14日、NTTドコモは記者会見で2万4632件の顧客情報が流出していたことを明らかにした。(2月14日の記事参照)。内容は、ドコモの携帯電話ユーザーの氏名、連絡先住所、携帯電話番号および一般加入電話番号。現在流出経路を特定中だと説明した。流出したデータは、中越地震の際に料金減免を受けた新潟のユーザーと、FOMAデータ通信でナビダイヤルにアクセスした関東のユーザーについての顧客情報。情報が流出した可能性があるのは、ほぼ9割が新潟の住民だという。ドコモでは、専用の電話番号(0120-422-660)を設けて問い合わせに応じている。
ドコモ、KDDI、発信者番号の偽装表示対策
2月18日には、KDDIとドコモが、発信者番号の偽装表示対策について発表した。着信時に相手の電話番号を表示する「発信者番号通知」を偽装表示し、信用させて詐欺を行うなどの事件に対処するものだ(2月18日の記事参照)。
パケットパックに新メニュー
なお、料金体系の変更についてもいくつか発表があった。ドコモはパケット割引サービスの「パケットパック」に、「パケットパック90」を追加する。(2月15日の記事参照)。4月1日から開始予定、ビジネス利用の拡大が目標だ。またFOMAデータカード向けには、月額1890円の「データプランSS」など、新しい料金プラン4種類を6月1日から開始する(2月17日の記事参照)。これに伴い、現行の料金プラン「FOMAデータプラン22」の新規受付は5月31日で終了となる。
さて、来週は?
今日から発売が開始されたボーダフォンの「V603SH」に続き、19日からは「V603T」が店頭に並ぶ。いずれもテレビ&FMラジオチューナー内蔵の「2Gハイエンド」機種だ。
来週は「ソフトバンク・アイティメディア」として記事をお送りする最後の週となる。3月1日には@IT(アットマーク・アイティ)と合併し、「アイティメディア」と社名が変わる。
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