2015年7月27日以前の記事
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ライトユース市場を浸食しながら拡大するケータイの力神尾寿の時事日想

いつでも身につけている携帯がカメラを内蔵したことにより、携帯で写真を撮る頻度が増えた人は多いだろう。携帯カメラで写真を撮るようになると、デジカメを使う頻度は減るのだろうか?

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 2月18日、アイブリッジが発表したインターネットリサーチサービス「リサーチプラス」の第79回調査報告によると、デジタル写真の撮影端末として、携帯電話内蔵のカメラの利用が急増しているという(2月21日の記事参照)。今回の調査ではトップはデジタルカメラだが、おそらく数年の内に、その座を携帯カメラに明け渡すことになるだろう。

 これはデジタルカメラ専用機の市場が失われる、という事ではない。デジタルカメラ専用機の市場は現状維持か、むしろ拡大するかもしれない。しかし、ユーザーから見た「カメラ」の利用頻度では、携帯電話カメラに圧倒される。

 いうまでもないが、携帯電話が他のデジタル機器より圧倒的に有利な点は「ユーザーが常に身につけている」ことだ。ここにデジタルカメラ機能など、これまで専用機で提供されてきた機能が融合されれば、当然ながら、携帯電話での利用頻度が高くなる。特にライトユース市場では、かなりの割合が携帯カメラに浸食される。

 しかしその後、携帯電話に取り込まれて「気軽に利用できるようになった」機能は、ユーザーのニーズが刺激されて、ライトユースも含めて市場が全体的に拡大する傾向にある。

 これは「コンビニエンスストアと専門店」の関係と同じだ。コンビニがパスタの品揃えに力を入れたからといって、街のパスタ専門店が打撃を被ることはほとんどない。むしろコンビニ発のブームになれば、消費者のニーズが全体的に拡大し、街のパスタ専門店も繁盛する。コンビニが「市場の入り口を広げる」ことでライトなニーズを浸食しながら、結果的にニーズそのものを拡大する役割を果たしている。

 今後のデジタル機器にとって重要なのは、携帯電話に対抗することではなく、携帯電話を入り口として拡大したニーズを取り込み、「コンビニと専門店」の関係を上手に築く事ではないだろうか。

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