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“ブランドの時代”に大切なこと:神尾寿の時事日想
普及成長期が一段落し、単純な機能競争からブランドの良しあしが問われる時代に入った携帯電話業界。ブランドの時代に生き残るために、「品質と価格」以外に求められるものとは何だろうか。
KDDIが3月4日から原宿にオープンする「DESIGNING STUDIO」のプレス内覧会に参加した。すでにレポートが掲載されているが(3月2日の記事参照)、原宿の地に「さりげなく」根を下ろし、情報発信とブランド力の向上を目指すための施設だ。
携帯電話に限らず、デジタル業界は今、普及成長期が一段落して「ブランドの時代」に向かおうとしている。
内覧会の席上、KDDI 経営戦略本部長の藤本勇治氏は、「(auブランドを)品質がよくて安いだけのブランドにしたくなかった。その先に進む上で重要な要素が、デザインであったり、お客様に見えないところでの技術力の高さだと考えています」と語った。
ブランドの時代は、ユーザーのスタイルに対する提案力と、その表現形たるデザインが争点になる。その下支えをするのが技術力だ。これらのトリニティがなければ、たとえ「品質と価格」で優れていても、苦しい戦いを強いられてしまう。
もうひとつ、ブランドの時代において大切なのが、「ユーザーとの接点」だ。ショールームのようなアンテナ施設はもちろんだが、もっと身近な部分として、端末機器と直営店の重要性はかつてないほど上がっている。
特に番号ポータビリティ制度の控える携帯電話業界では、魅力的なモデルの継続的な投入と、直営店の質向上・効果的な利用が、勝敗を決する重要な鍵になるだろう。
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