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ドコモ本社内に設置されたバーチャルな研究組織、「モバイル社会研究所」。そのシンポジウムでは、携帯電話と社会との関わりについて行われた学術的な研究成果が発表された。
「モバイル・メディアの文化とリテラシーをめぐるソシオ・メディア研究」について発表するのは、東京大学大学院情報学環助教授の水越伸氏。社会・文化的な領域を担当するという水越氏の研究は、技術的な観点から見ると非常に難解だ。
「私たちの扱っている文化とは、芸術などの高尚なものではなく、生活の中の習慣であるとか規範であるとかの約束事を示します。現在、まだ未成熟であるモバイルメディアの文化を、技術の動向に任せるのではなく、事業者や法制度化を担当する方々と一緒にデザインをしていくわけです」
水越氏のいうリテラシーとは、約束事を学ぶ活動、また約束事を作っていく活動を指すようだ。
研究を通して分かったのは、人と携帯電話のかかわり方として、身体であるとか、場の問題が存在するということ。テレビであればお茶の間で家族そろって見るなどと、メディアと関わる場が決まっていたが、携帯電話は常に身近にあるため、その瞬間ごとに関わり方も違ってくる。
発表の中で具体的な研究手法として紹介されたのが、典型的な携帯の利用風景を演じてみること。電車の中、会社の中などで携帯がどのように使われているかを、演技として実践してみるものだ。ビデオで紹介されたのはヘルシンキと東京の事例であったが、確かにこの2つの例だけでもケータイの使われ方に文化的な違いを発見できる。
水越氏らの研究から具体的にどのような端末、サービスが登場するのか想像するのは難しい。だが、大マジメに携帯を研究している人たちがいることで、私たちにとっての幸せな未来社会が待っているのだと思いたい。
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