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eコマースのプラットフォームになるケータイ:神尾寿の時事日想
携帯電話を使ったオンラインショッピングが普及しつつある。技術・サービスの向上以上に大きな要因となっているのが、携帯でモノを買う事への「経験の蓄積」だ。
インフォプラントによると、iモードユーザーの過半数がモバイルでのeコマース(電子商取引)の経験をしているという(3月23日の記事参照)。中でも注目なのは“女性比率の高さ”。しかも「化粧品」や「衣料品」など、これまでeコマースでは難しいとされていた分野も受け入れられている。
携帯電話を使ったモバイルeコマースが成長する背景には、携帯電話端末の表現力向上、パケット料金定額制の開始など、技術・サービス的な理由はいくつかある。以前、筆者が意見交換をしたアマゾンの担当者も、モバイルeコマース普及の大きな要因として「QVGA液晶とパケット料金定額制」を挙げていた。
しかし、それ以上に大きな理由として考えられるのが、ユーザーの“経験の蓄積”だろう。iモード登場以降、携帯電話のコンテンツプラットフォームでは「低価格の有料コンテンツ」が流通し、ユーザーはブラウザを通じて何かを買う行為に段階的に慣れてきた。eコマースを受け入れる素地が、ユーザーの感覚や体験として養われてきたのだ。これはモバイルeコマースの特徴であり、PC向けeコマースとの違いになっている。
PCを使ったeコマースは「利便性」や「即時性」、「検索性」といった論理的なメリットが認められて成長している。一方、携帯電話を使ったモバイルeコマースは、ユーザーの肌感覚に近い“お買いもの”として、より広い層に受け入れられていくのではないだろうか。
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