HSDPAは2006年、新規参入事業者にも期待〜エリクソン
ネットワークベンダーとしてだけでなく、ソニーとの端末開発、チップ提供などさまざまな顔を持つエリクソン。「日本は非常に重要な国」と話すその理由は?
4月12日、Ericsson社長カール・ヘンリック−スヴァンベリ氏が来日し、記者向けにスピーチを行った。2005年以降のロードマップや、Ericssonが日本市場をどのような位置づけで考えているかについて語った。
ネットワークから端末まで、End-to-Endのソリューションを提供
「2004年は非常に大きな成長の年だった」、とカール氏は振り返る。世界を見ると、1年間で携帯人口は3億人増え、6億台の携帯電話が出荷された。今や世界中の17億人、実に人口の27%が携帯電話で通話や通信を行っていることになる。Ericssonは、日本やヨーロッパ、米国などの先進地域でも、ロシアや中東、ラテンアメリカといった新興地域でも成功を収めた、とする。
2004年のもう1つのトピックが、3Gの進展だ。W-CDMAユーザーは1800万人以上。今年中に5000万〜700万人を達成するだろうとカール氏は予測する。3.5GといわれるHSDPAへの関心も高まっており、試験も着々と進んでいる。
日本におけるEricssonは「携帯電話用の大手インフラベンダーとして20年の経験があるだけでなく、チップセット、端末などを含むEnd-to-Endのソリューションを持つプレイヤー」とカール氏は話す。
たしかにEricssonにはいくつもの顔がある。まずネットワークベンダーとしては、HSDPA技術のリーダーと言える存在だ。2004年秋に中国・北京で5Mbpsのデモを行っているほか(2004年10月27日の記事参照)、2005年2月の仏・カンヌでは、HSDPAで下り11Mbps、HSUPAを利用し上り1Mpbsのデモを披露している(2月21日の記事参照)。
ほかのネットワークベンダーに対するEricssonのアドバンテージとは何だろうか。「1つは、我々がHSDPA技術の先駆者であること。そしてもう1つは、我々の技術は従来のW-CDMA用設備をソフトウェアでアップグレードするだけで実現できることだ。そのためオペレーターは、非常に低いコストでHSDPAへ移行ができる」(カール氏)
Ericssonには端末メーカーとしての顔もある。ソニーとのジョイントベンチャーであるSony Ericssonについて、「2004年は非常に大きな成功を収めた歳だった。2003年に比べると5割増しの売り上げだ。消費者向けの製品に強いソニーと、ネットワークに強いEricssonは、非常に良い組み合わせ」と話す。
もう1つがチップメーカーとしての顔だ。Ericsson Mobile Platforms(以下EMP)は、14社の顧客を持ち、W-CDMA端末向けチップ市場で30%のシェアを確保している(2004年11月15日の記事参照)。日本でも、シャープなどがEMPのチップを採用しているほか、NECも今後の採用を発表している。
日本市場の重要性
Ericssonにとって、日本市場はどのような位置づけなのだろう。「日本は携帯電話の最先進国であり、戦略的に非常に重要な位置にある。NTTドコモのような重要なパートナーがいること、Sony Ericssonというジョイントベンチャーがあることを考え合わせても、我々にとって、大きな意味がある」とカール氏は話す。とくにドコモとの関係は深く、一緒に行った設計から生じた特許件数も非常に多いという。
2006年に参入が予定されている、新規事業者についても期待しているという。「日本はこれまで、他の国と比べると、事業者の数が極端に少なかった。新たな事業者が参入することはウェルカムだ。Ericssonとしては、新規参入業者とも一緒にやっていきたいと考えている」とコメントした。
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